外皮を塩水やマール、ワインやブランデーなどの酒で洗いながら熟成させるチーズ。外皮は柔らかくなってオレンジ色となり、発酵食品独特の強烈な香りを放つが、中は柔らかく風味豊かに。他にポンレヴェックなどがある。

Epoisses (エポワース)

香りは強烈だが、通好みの王様

 ブルゴーニュ地方産。『美味礼賛』の著者ブリア・サヴァランは“チーズの王様”と評した。原料は牛乳で、ブドウの搾りかすを蒸留して造るマール酒で洗いながら熟成させる。

「表面の発酵が不規則でなく、ばらつきなく均一にオレンジ色がかったものを選びましょう。スパイシーな味わいのブルゴーニュワインはもちろん、意外に日本酒とも合います」。

 強烈な匂いだが、パン酵母のように香ばしく繊細な味。(1個250g ¥3600)

Mont d’Or (モン・ドール)

エピセアの香りの、季節限定チーズ

 ジュラ山脈フランシュ・コンテ地方産。季節限定で8月15日から3月15日までのみ製造が許される。原料は牛乳。塩水で洗いながら熟成。1kgのモン・ドールに約7Lの牛乳を使用。

 熟成中はエピセアの棚の上で反転を繰り返し、出荷時にエピセアの樹皮を巻くため、優しい木の芳香が。「流れ出るくらいの硬さが理想的。オーブンで焼いてフォンデュもいいですが、とろとろのところを生のままいただくのが最高です」。(100g ¥1100)

イタリアのフレッシュチーズをあしらった“本日のチーズランチプレート”12ユーロ。そのほか、“季節のチーズビュッフェ”11.50ユーロも人気

Q:マダム久田のお店で味わえるランチとは?
A:いろいろなチーズを揃えてお待ちしています
 1区の店の2階はサロンになっていて、ランチや軽食、お茶などを楽しめる空間です。日替わりチーズランチはその日の仕入れによって、内容を変えています。
 例えば、スペインに行って帰ってきたばかりの時は、その際に持ち帰ったチーズをお出しするというサービスも。
 また、冬には温かいチーズ料理など、季節に応じた料理を作っています。写真のランチプレートは、イタリアからやってきたばかりのフレッシュなモッツァレラチーズと、牛乳100%のブラータチーズを味わっていただきたくて、それらをふんだんにあしらったサラダです。モッツァレラには紫蘇の風味のドレッシングをかけて、ブラータには胡椒とオリーブオイルをひとふりしています。
 こうしたランチでのチーズの味わい方の提案が、皆さんが家で味わう時のひとつのアイデアになったら嬉しいと思っています。

Salon du Fromage Hisada パリ1区パレ・ロワイヤル・オペラ店
住所 47, rue de Richelieu 75001 Paris
電話番号 +33・1・42・60・78・48
営業時間 10:30~19:30
定休日 日・月曜

Fromagerie Hisada パリ16区ポルト・ドゥ・サンクルー店
住所 17, rue le Marois 75016 Paris
電話番号 +33・1・42・88・34・30
営業時間 8:30~13:00、15:30~19:30
定休日 日・水曜の午後、月曜
URL madame-hisada.jp

photo:Masatoshi Uenaka
realization & text:Aya Ito