(5) 服装とアップグレードは関係ない?

 アップグレードに関してよく語られていることのひとつに、外見がこぎれいなほうがアップグレードされる率が高いという話があります。かつてはたしかにそういうケースもたまにみられたようですが、近年ではチェックインする人物がカウンターやゲートに来る前に自動的にアップグレードが決まっているケースがほとんど。服装はまず関係ないといってもいいでしょう。

(6) アップグレードされない客は?

 実はアップグレードの可能性が非常に低い客も存在します。ひとつは特別食(スペシャルミール)を頼む客。この客をアップグレードすると、事前に用意していた機内食が無駄になりますから、航空会社は極力こういう客のアップグレードを避けようとします。また、パッケージツアーや修学旅行といった団体も、そのなかで上がる上がらないがトラブルの原因となりますのでアップグレードの可能性は低いでしょう(個人のフリーツアーの場合はそのかぎりではありません)。

 逆に1人の客は2人以上の客よりもアップグレードの可能性が高まります。アップグレードされるビジネスクラスは虫食い的に1人席のことが多く、カップルなどでばらばらになるよりも、誰ととなりでもよい1人客のほうが上げやすいということが背景にあります(もっとも最近はビジネスクラスにソロシートが増えているので状況は変わりつつありますが)。

 最後にひとつ。最近、エティハド航空のマイレージのゴールド会員だと、頻繁にビジネスクラスにアップグレードするという噂を耳にします。私も10月にシチリアへ行ったとき、やはりビジネスクラスにアップグレードされました。ヨーロッパに行くことが多い方は参考にしてみてください。

ビジネスクラスへのアップグレード率が高いといわれるエティハド航空。いったんアップグレードされれば基本的にサービスはほかのビジネスクラスの客と変わらない。

橋賀秀紀(はしが ひでき)
トラべルジャーナリスト。筑波学院大学非常勤講師。東京都生まれ。著書は『エアライン戦争』(宝島社)など。海外渡航暦は200回以上。

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2016.01.11(月)
文=橋賀秀紀