山写真を撮影するコツ その3
「感動を抑制する能力を鍛えるべし」

ワイポウア森林保護区の近くにあるコプソーンホテル&リゾート・ホキアンガ内にある桟橋。朝早く起きてまだ月が出ている時は月と太陽の交代劇を定点撮影すると色彩の変化が楽しめる。

 第3に感動抑制能力を鍛えること。これは、ちょっと皮肉に聞こえるかもしれないがとても大事なことなのである。

 旅に出て素敵な風景に出会い、わーっと感動してパシャパシャとシャッターを切りまくったのに、家に帰ってからもう一度写真を見返すと一枚もいい写真がなく、がっかりした経験はないだろか。そう、感動ばかりが先立った状態でシャッターを押していると、冷静に構図や光を見つけることができないのである。

クイーンズタウンの街に闇が迫ってくると、街は輝きだし、山は眠り始める。

 そこで感動抑制能力が必要になってくる。もちろん感動することは悪いことではなく、私も素敵な風景を見ればもちろん感動する。問題はその次。

 感動したら、次は冷静にファインダーを覗いて、光の位置の確認、ポイント探し、構図切り取り、自分なりの露出(暗めな方がこの場合はかっこいいなあとか、これは明るめでいこうなど)、そしてピントの深さである被写界深度(長くなるからウィキペディアで調べてね)を瞬時に決める。写真家はみな、それを瞬時にやる訓練を自然にしている。写真家ってすごい!(しばし自己陶酔中。笑)

2015.08.23(日)
文・撮影=山口規子