批評家が絶賛すると無冠?
そんなジンクスを覆しての受賞

 ようこそ、カンヌへ!

 今年もカンヌ国際映画祭に行ってきた。是枝裕和監督の『万引き家族』が最高賞パルムドールを受賞したというニュースは、日本でも大きく報道されたのではないか。もしくは同時期の西城秀樹や朝丘雪路の訃報の方が大きかったのだろうか。

 カンヌにいると実はそこらへんのところが、よくわからないのが正直なところ。ネットを見ているだけでは、やはりある程度、ざっくりとした感じしかわからないのだ(誤解のないように言うと、私は秀樹の大ファンだったので、カンヌでも秀樹ロスにうなされた)。

 一方、現地では大ニュースだ。フランスの、そしてヨーロッパの大きなお祭りなのだから。言うなれば、映画のワールドカップ。そこで優勝したのだから、是枝監督への注目度も大きく上がる。

 授賞式で、是枝監督の名前が呼ばれたときは「キャー!」と声をあげて大喜びしてしまった。私が映画に関わったわけでも何でもないけど、やっぱり応援している作品が受賞するのは素直に嬉しい。

 是枝監督、改めておめでとうございます。当日、ムービープラスで会場から生中継レポをやったので、観てくれた方もいたかしらん。かなり興奮してしゃべっていた気がする。

 もっとも、『万引き家族』の受賞はまったく意外ではなかった。とにかく観終わった瞬間からガツンと来たし、各紙のレビューもかなり良く、映画業界誌の星取り表(カンヌでは毎日、仏「フィルム・フランセーズ」、英「スクリーン・インターナショナル」他、いくつもの業界誌が会場の内外で無料で配られる)は、どれも高得点。

 ただ、批評家が絶賛すると無冠に終わることも多く、近いところでは2016年の『ありがとう、トニ・エルドマン』が絶賛の嵐(私も大絶賛)で星取り表でも高得点だったが、公式な賞は何も受賞できず(そのお詫びなのか、翌年には監督のマーレン・アデが審査員に選ばれていた)。実は、同じことが今年も起きていたのだ。それは後述しよう。

 さて、『万引き家族』は、『誰も知らない』以来の是枝作品の集大成であり、その素晴らしさと凄みは、もう公開されているのでぜひ映画館で確かめてほしいのだが(ちゃんと論評しろよ、と言われそうだがまずは先に進む)、カンヌのような国際映画祭で受賞するには、映画そのものの力はもちろん、他にもいくつか重要な要素がある。

 ちょっと偉そうだけど、『万引き家族』だけを観たのでは、なぜこの映画が「今年のパルムドール」を獲得したのかは分析できないのだ。だから、カンヌまで実際に行く甲斐があるわけよ。ま、自腹だけど(恨みがましくてすみません。だってユーロが高いんだもん!)。

2018.07.08(日)
文・撮影=石津文子

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