映画祭期間中ホテルはもちろん満杯。じゃあどこに泊まる?

今年の最高賞パルムドールに輝いた『ウィンター・スリープ』のヌリ・ビルゲ・ジェイラン。カンヌ常連のトルコの名匠ながら日本では公開作がなかったが、本作は来年日本公開が決定。3時間超えの長編だが、濃密で飽きさせない。

 ようこそ、カンヌ映画祭へ!

 ついにこの連載も最終回。ユーロが高いだの、宿代や飛行機代が高いだのと文句を言いながらも、楽しそうじゃないの、と思ったそこのあなた。最後にマダムアヤコが「あなたもこれでカンヌに行ける」をお教えしましょう。

クエンティン・タランティーノは閉幕式のプレゼンターとして登場。またビーチのステージでは20年前にパルムドールを受賞した『パルプ・フィクション』が上映され、タランティーノ、ジョン・トラボルタ、ユマ・サーマンが登壇。この野外上映は毎晩あり、無料で誰でも観られるので、おすすめ。

 なんて偉そうに言ってるが、カンヌへはニース・コートダジュール空港からバスで1時間ほど。パリやニース市内からは鉄道で行くこともできるのでアクセスは問題なく、誰でもその気になれば行くことはできるし、実際、カンヌ映画祭期間中は観光客もどっと押し寄せて来る。なにせメイン会場のパレ・デ・フェスティバルはカンヌ駅から徒歩5分のビーチ沿いにあり、海で泳いでからレッドカーペットも見られるという一石二鳥の場所なのだ。

今年の審査員は、委員長のジェーン・カンピオンをはじめ、ウィレム・デフォー、ソフィア・コッポラ、ガエル・ガルシア・ベルナルら豪華な顔ぶれ。

 問題はどこに泊まるか。リゾート地であるカンヌにはホテルや、貸しアパルトマン(私が借りているのはこのタイプ)もたくさんあるのだが、カンヌ駅前や海岸付近のホテルの多くは映画関係者やプレスによって半年以上前から予約されているし、前にも書いたように価格も跳ね上がってしまうためハードルが高い。

コンペ入りした『2つ目の窓』(河瀬直美監督)の主演、村上虹郎と父役の村上淳は実の親子。無冠ではあったが、親子でのカンヌ参加に村上淳は「最高です!」と感激していた。

 それよりも、アンティーブやニースなど近くの町から電車やバスで通うのがおすすめ。特にアンティーブは、電車で15分と近く、ここ自体が風光明媚でピカソ美術館を擁する観光地なのでホテルも多く、カンヌに比べたら宿代も控えめ。関係者でもここから通って来る人が少なくないので、お試しを。

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2014.08.11(月)
文・撮影=石津文子