●餃子の王さま(東京・浅草)

王さまの餃子 420円(写真は2人前)。

ビブグルマン2018に選ばれた
キングオブ餃子

 “餃子セレブ”藤崎さん。おすすめを聞かれると、まず思い浮かぶのがこちらのお店だとか。「もっちりした皮、カリッとした食感、いわゆるみんなが好きな餃子のイメージの、ありそうでない完成形のような餃子です。そして、いつ来てもぶれない焼き色、香ばしさ、皮と餡がグッドバランスなのも飽きがこないポイント」と聡子さんが褒めちぎるのがこちらの餃子。おいしい餃子を求めて遠方からわざわざ来る人が増えてきている注目店は、先日のビブグルマンの餃子部門に選ばれた。ますます混みあうこと必至。先手必勝、今すぐ訪れて。

水と油が餃子全体にまわるように鉄のフライパンをゆらすので、焼きムラがない。水と油がジュワーとした協奏曲を奏でたら、おいしく焼き上がっているサイン。
自家製ラー油。まずはそのままで、それからラー油と酢で食べるのがおすすめ。

生餃子だからこその
香ばしい焼き加減

 現在、お店で鍋をふるう佐々木さんは、3代目。戦後、祖父がここ浅草に「餃子屋」としてのれんを掲げたのがはじまり。商売が軌道にのり、いざ屋号を考えようとしたとき、客の「餃子の王さまだよ!」との言葉から今の店名になったとか。その名のごとく、ムラのない美しい焼き色は堂々たる風格。餃子のレシピは、先代のものを継承。餡の作り方も、生餃子というスタイルも変わらない。

客の8割がオーダーするという野菜餃子。野菜と肉の配合、シャキシャキ感、すべてのバランスが絶妙。
皮は特注。平日は500から、多いときは1000個出るという。土日はその3倍だとか。

 餡の材料は、豚肉、キャベツ、にら、にんにく、しょうが。野菜を中心に、豚肉を旨みのアクセントとして忍ばせる。冷凍、冷蔵ものは一切使わず、生餃子から焼き上げるため、火の通りが早く、あっという間に焼き上がる。

2階にはテーブル席も用意。ライブ感あふれる1階のカウンター席もいいが、2階席で様々なメニューを食べ比べるのも一興。

▼聡子の「眼」

「美しい焼き色は、浅草の芸術! 
相棒は、冷えたビールで」

 至極のベーシック餃子といえるこちらには、“鉄板コンビ”のビールをあえて合わせたい。キリリとした喉越しに導かれ、何皿でも食べられそう。店名の通り、ここは餃子屋。餃子がメインで、ラーメンや焼きそばがサブというのも“餃子道”を感じて好きですね。その、サブメニューも抜群においしいのだけども(笑)。

店主の佐々木光秋さんと、餃子談義に花が咲く藤崎さん。取材時はまだビブグルマン受賞前。

餃子の王さま
所在地 東京都台東区浅草1-30-8
電話番号 03-3841-2552
営業時間 11:15~14:45(L.O. 14:30)/16:00~20:45(L.O. 20:30)
定休日 火曜

2017.12.16(土)
文=吉村セイラ
撮影=平松市聖