帰路のフィンランドも
楽しむ欲張り旅

ガラスの天井の明かり窓が特徴的な「アカデミア書店」。本の陳列もお洒落。

 さて、最後にもう一つ。冒頭に書いたように、帰路はフィンランドのヘルシンキに立ち寄る。アイスランドから連れ合いはアメリカに向かい、私は日本へということで、夜中に一人でヘルシンキに到着するが、空港内かシャトル便のあるホテルを予約しておけばOK。

 翌日、ヘルシンキ空港から市内の中央駅までは、フィンエアーシティバスか鉄道(I線またはP線)で30分程度。ヘルシンキ出発が16時半なので14時過ぎに空港に戻る必要があるということから逆算すると、4時間ほどの滞在になる。

同書店の入り口の取っ手は、アールトによる特徴あるデザイン。

 ヘルシンキで見たい所は、フィンランドのモダニズム建築を代表するアルヴァ・アールトが設計したアカデミア書店、それからデザイン博物館に絞る。

 中央駅には9時過ぎに着いて、そこからぶらぶらとアカデミア書店へ。入り口の取っ手や床に描かれた足跡など、アールトの遊び心を感じながら、ムーミンの絵本などをショッピング。

Akateeminen Kirjakauppa / Academic Bookstore
(アカデミア書店)

所在地 Keskuskatu 1/Pohjoisesplanadi 39, 00101 Helsinki
電話番号 020-760-8999
http://www.akateeminen.com/fi/in-english/

ヘルシンキ市観光案内所にて。日本語の上手なミラさんとにこやかなエーリックさん。

 そこからちょっと距離のあるデザイン博物館に向かうべく大通りからぶらぶら。マーケット広場の少し手前、エスプラナーディ通りにヘルシンキ市観光案内所があった。

 場所を確かめようと立ち寄ると「あっ、日本の方ですか?」と聞かれて驚いたのだが、運よく、日本に留学していたという係員の方だった。その女性にもらったパンフレットを読んで、デザイン博物館は、かつてムーミンの作家トーベ・ヤンソンが通っていたデザインの基礎学校だったことを知る。

1800年代の重々しい外観ながら、中はモダンなデザイン博物館。

 デザイン博物館では、フィンランドのデザインの歴史を知ることができる。マリメッコのテキスタイル作家やアールトなどの建築家、そしてゲーム作家の作品、また家具、ガラス器やハサミなど暮らしに身近な作品も展示してあり、とても見応えがある。石畳の美しい街並、近くにはトーベ・ヤンソンがアトリエを構えていた建物も。

フィンランドを代表するデザインの数々で歴史をたどる。

Designmuseo
(デザイン博物館)

所在地 Korkeavuorenkatu 23, 00130 Helsinki
電話番号 09-6220-540
http://www.designmuseum.fi/en/

 4時間ほどの滞在だったが、フィンランドのモダニズムや北欧デザインの源に触れて、大満足。早めに空港に戻れたので、出発まではフィンエアーの空港ラウンジへ。

 帰国便を待つ間に滞在したのは、シェンゲン協定非加盟国線エリアにあるラウンジ。900平米もあるスペースではミールやドリンクのサービスも提供していて、プライベートシャワーとフィンランド式のサウナがある。

 ラウンジへのアクセス権がないクラスの乗客でも、受付で48ユーロを払えば、3時間までのアクセス権を購入することが可能。

ゆったりとしたA350XWB機の座席。眼下に遠ざかる北欧の空を眺めて。

 帰国便の飛行機は、静かな環境の中、時間によって変わる照明が安眠を誘うA350XWB。成田まで快適に過ごせた。横になれば、アイスランドのダイナミックな自然が瞼に浮かぶ。実に思い出深い旅だった。

【取材協力】
フィンエアー

http://www.finnair.co.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

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2017.09.18(月)
文・撮影=小野アムスデン道子