一生に一度は訪れたい絶景
大迫力のゴールデンサークル

海洋プレートが地上に露出している大地の裂け目。少しずつ今も広がっている。

 ゴールデンサークルで、最初に立ち寄ったのは世界遺産に登録されているシンクヴェトリル国立公園。

 レイキャビクの北東約40キロの場所にあるので、前日はそちらに近いB&Bに泊まって、朝10時に出発。途中、苔や草で覆われた平らな頂上の山や、湿原など独特な風景を見ながら、まずはインフォメーションセンターを目指す。ここに車を停めて、歩いて回るのだ。

シンクヴェトリル国立公園は、切り立ったプレートの先端を見ながら歩いていける。

 ゆっくり回ればここだけで1日かかりそうなぐらい広い。見どころはユーラシアプレートと北米プレートが左右から迫る大地の裂け目。そんな裂け目の間を抜けると、川が静かに流れる緑の広大な平原が広がる。ここは声が岩によく反射して届くということで、世界最古の議会であるアルシングが開かれた土地だという。

裂け目の向こうに広がるのどかで美しい風景。古代の会議場だったところ。

 次に向かったグトルフォスの滝が今日のコースのいちばん東にあり、ゲイシールの間欠泉までは、そこから約10キロ。先に宿にチェックインをして、午後の3時過ぎから滝と間欠泉を目指す。北欧の夏は1日が長いのでいい。

左:水煙で虹がかかるグトルフォスの滝。神々しい美しさだ。
右:滝の上の方に張り出した岩から、びしょぬれになりながら見下ろす人々も。

 遠目にグトルフォスの滝の落水らしきものが見えてきた。近づいてみて、その規模の大きさにびっくり。約15メートルと約30メートルの滝が2段となっており、幅は最大70メートル。

 氷河を源とする恐ろしいほどの量の水が音を立てて流れ落ちるその様は、思わず引き込まれそうになるほどすごい。

 最後に立ち寄ったのがゲイシールの間欠泉。ゲイシールというアイスランド語自体が間欠泉という意味で、地図にもそのように記されているが、今、熱湯が吹き出すのはストロックル間欠泉というすぐ隣にある場所。

ボコボコと音を立てて地中から熱湯が沸き出している。その色は澄んで青い。

 大地のあちこちから熱湯は沸き出して、煙が立っている様は地獄谷のような感じだが、間欠泉の吹き出す場所はロープで仕切られている。何といっても80~90度の湯が10分ほどおきに20メートルぐらいの高さまで吹き出すのだから、大地のパワーを実感できる。

高く上がる間欠泉。「いちばん近い病院でも67キロ先なので近づかないように」という注意書きがある。

 思った以上のゴールデンサークルの迫力に、これだけでもアイスランドに来た意味は十分あったと大感激。次の日は最南端の村ヴィークまで行ってみた。アイスランドの道路は、ぐるりと一周できる主要道路を中心にシンプルなので、ドライブしやすい。

見上げる高さのセリャラントスフォスの滝。滝の裏側に行っている人も。
水量ではセリャラントスフォスを上回るスコガフォスの滝。滝壺に水が貯まらないのが不思議。

 ヴィークに行く途中でも、滝の裏側に入れるという高さ約65メートルのセリャラントスフォスの滝や、高さ約60メートルの豪快なスコガフォス滝、黒砂の海岸に奇岩のそそり立つブラックサンドビーチ、そして氷河までは行き着かなかったものの、脇道から車で上がったところにあった霧に囲まれた険しい山道など、忘れ難い風景が続く旅だった。

曇って霧が出ると、地の果てへのドライブといった感じがする。
溶岩と火山灰でできた灰色の大地に、川がうねるなんとも幻想的な眺め。
本当に真っ黒なブラックサンドビーチには、奇岩が立つ。

2017.09.18(月)
文・撮影=小野アムスデン道子