世界に名を轟かせる
サーフィンの聖地

 バドゥン半島をさらに南下した、西に突き出た部分には、サーファーたちの聖地とされるポイントがあります。このあたりを車で走ると、バイクに乗ったサーファーが高台の道路脇から波をチェックしている様子を見かけることも。

幹線道路から見下ろせる、“パダンパダン”というサーフスポット。
サーフボード用のラックを搭載したバイクに乗ったサーファーたち。路上から波の状況をチェック。

 周辺にはいくつかサーフポイントがありますが、中でも世界に名前を轟かせているのが、「ウルワツ」です。

 ウルワツには、インド洋を渡って巨大なうねりが直接押し寄せ、時として、波の高さが10フィート(約3メートル)を超すこともあります。

断崖から望む、サーファーの聖地ウルワツ。

 高台から見下ろしていると、沖から長く大きなうねりが次から次へと押し寄せ、ヘタレのボディボーダーの私なんて、海に入ろうなんて気にすらなりません。

 たまに波遊びをするイルカたちとサーファーが同じ波に乗っている様子を見かけることもあります。イルカと人が自然の中で戯れる風景には、「楽しそう」を超えて、「荘厳」な感じさえ抱きます。

左:ウルワツのワルンから海をチェックするサーファーやウォッチャーたち。
右:急な階段を下りて、ウルワツの海の入口へ。

 ウルワツのサーフポイントへは、ワルン(食堂)やロスメン(安宿)、あるいはそれらを兼務した掘っ立て小屋がしがみついている急斜面を下りていきます。このワルンには、波のコンディションを見定めているサーファーもいれば、華麗なライディングを見にやってくるウォッチャーもいます。

ウルワツの断崖のふもと、ここから先は聖域に思えて、行ったことがありません……。

 ふもとまで降りると、そこには巨大な岩場が立ち上がり、その合間を抜けて、サーファーたちは海へ入り、沖を目指してパドリングしていきます。その背中のかっこよさといったら! 神々しいほどです。

2017.05.06(土)
文・撮影=古関千恵子