アジアのチキンライス
注目すべきはソース

 チキンライスに添えられたソース。ゆで鶏につけたり、ご飯にかけたりして食べるのですが、そのソースが各国それぞれ違います。「なんだ、ソースだけか」と思ってはいけませぬ。刺身にしょうゆが欠かせないように、チキンライスの味はソースで決まると言ってもいいほど。その大事な味に特徴があるのです!

イベントで提供したソース。4カ国で、特徴的な味を全7種類用意した。(写真提供:杉生幸久さん)

 タイ・チキンライスのソースは、タオチオソース。大豆を発酵させた中国味噌をベースに、しょうゆ、にんにく、生姜、唐辛子などが入っています。味は、濃厚な味噌味で、色は茶系。

 シンガポールは3種のソースがあり、簡単にいうと甘い醤油、おろし生姜、さっぱり唐辛子。「甘い醤油はご飯、生姜と唐辛子のソースはチキンにかけるのがシンガポール人の食べ方」と伊能すみ子さん(アジアンフードディレクター/シンガポール担当)。味は、甘・ピリッ・辛とそれぞれで、色は黒・白・赤とカラフル。

 インドネシアは、シンガポールと似たソースが主流。ただ、個々の店がそれぞれオリジナルソースを提供していることもあり、たとえば、発酵させたオキアミを使ったものや刻みパクチー入りのナンプラーなどの変わり種も。

 マレーシアも、シンガポールで登場した生姜と唐辛子の2種が基本。とくに唐辛子ソースへのこだわりが強く、唐辛子に加えてトマト、パプリカ、パクチーの根、レモン、にんにくなど10種近い食材をブレンド。味はフルーティーで、色は鮮やかなオレンジ。

2017.03.09(木)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)