血豆腐に、ハーブのたきこみ
おいしさのこだわりは各国それぞれ

 では、ソース以外の違いを一気に紹介しましょう! 人気のトッピングや肉質の好みなど、特徴はそれぞれ。現地のチキンライスの写真と一緒にどうぞ。

 まずはタイ。タイのチキンライスは「カオマンガイ」とよびます。

カオマンガイには鶏の血を固めた“ルアットガイ”(血豆腐)をトッピングすることができる。(写真提供:平林香さん)

 「カオマンガイのご飯は、香りと艶が命。鶏の脂でにんにくを炒め、その脂ごと加えたチキンスープで炊きこんでいます。また、ひじょうにポピュラーな屋台料理で、日本でいうなら牛丼のような存在。家で作ることはあまりなく、近所にある屋台でいつもの食事として食べます。持ち帰りにすることも多いですね」と下関崇子さん(タイ・カルチャー料理家、ムエタイインストラクター/タイ担当)。

 日本で人気のシンガポールのチキンライスは、中国の海南島出身の人々が移住とともに伝えた料理といわれ、漢字で「海南鶏飯」、ハイナンチーファンとよびます。これは、マレーシアの中国系のチキンライスと同じルーツで、基本的に同じ料理です。

シンガポールの海南鶏飯は、屋台だけでなく、ホテルのレストランでも提供されている。写真は、有名ホテル、マンダリン・オーチャード・シンガポールのチキンライス。価格は27シンガポールドル。(写真提供:伊能すみ子さん)

 「シンガポール人がチキンライスで重視するのは、鶏肉のやわらかさです。沸騰直前の温度でゆでることで、つるっとすべらかな食感に仕上げます。ゆでた鶏は、氷水につけて急速に冷やす広東式と常温でキープする海南式の2つのスタイルがあります。また、ホテルのレストランでも味わえるという“チキンライスのセレブ化”は、国の経済的発展の象徴といえるのかもしれません」と伊能すみ子さん。

 次に、あくまでも中国料理の人気メニューという立ち位置なのが、インドネシアのチキンライス。専門店はあまりなく、中国料理店でメニューのなかのひとつとして提供されています。インドネシア語で「ナシ・アヤム」とよび、言語的に近いマレー語と同じ名前です。

インドネシアのナシ・アヤム。おもにスマトラ島でよく食べられている。(写真提供:浅野曜子さん)

 「ナシ・アヤムのご飯は、インディカ米ではなく、ジャポニカ米に似たもちっと弾力のある米をよく使います。タイと同じで、ご飯を炊くときは、チキンスープに鶏の脂も加えるのですが、さらに種々のハーブを入れて炊く店もあります。この作り方は、ほかのインドネシア料理に影響を受けているようです」と浅野曜子さん(インドネシア料理プロデューサー、フードコーディネーター/インドネシア担当)。

2017.03.09(木)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)