食事をしながらタンゴショーを堪能する

「カフェ・デ・ロス・アンヘリートス」は、120年以上の歴史をもつ老舗。
入ってすぐのスペースには、食事だけしたい人の為のテーブルがある。

 「カミニート」で記念撮影に応じているタンゴダンサーを見たら、本格的なタンゴを観たくなった。タンゴは、1880年頃、移民が多く住んでいたボカ地区などで、男性たちがストレスのはけ口として酒場で荒々しく踊ったのが始まりと言われている。やがて、酒場の女性たちを相手に踊るようになり、男女で踊る官能的な踊りの原型ができた。

 当時は下町の踊りとして上流階級には受け入れられなかったが、1920年頃にヨーロッパやアメリカへと広まり、特にパリでもてはやされ、上流階級にも認められたという。パリで洗練された踊りがアルゼンチンに逆輸入されるとともに、ますます世界に広まっていった。

 私が初めて生のタンゴを観たのは、1985年の初演以来ブロードウェイで記録的ヒットを続けていた「タンゴ・アルゼンチーノ」の来日公演。その情熱的で官能的な踊りに圧倒されてしまった。

店の奥には、ステージの前にテーブルが並ぶ劇場型のレストランがあり、桟敷席にもテーブルが並ぶ。

 タンゴ発祥の街、ブエノスアイレスには、食事とタンゴショーを楽しむことができるレストランが約20軒もある。その中の1軒、1890年創業の老舗「カフェ・デ・ロス・アンヘリートス」へ。ここは劇場型レストランで、ステージの前と桟敷席にテーブルがあり、食事を食べ終わる頃にショーが始まるというスタイルだ。

この美しいシルエットは本場のタンゴダンサーならでは!
音楽はすべてステージの上部でのライブ演奏。

 ひとくちにタンゴと言っても踊りも衣装も様々。大勢で踊ったり、ペアで踊ったり、衣装がカーテンと繋がっていたり。踊りだけでなくドラマチックな歌もある。そのすべての音楽は、ステージ上部で奏でられるライブミュージックだ。切なくて、官能的でいて、見とれてしまうほど美しい。スペイン語は分からないけれど、心に響いてどんどん惹き込まれていく。

女性のドレスがカーテンと一体化していて、なんて美しいこと!
女性ひとりに男性3人が言い寄る踊りもカッコイイ!
官能的な踊りだけでなく、優美な踊りも。

 ショーが終わって帰り道、背筋がピンと伸びて、つま先に力を入れて歩いてしまったのは私だけではないはず(笑)。

Café de los Angelitos
(カフェ・デ・ロス・アンヘリートス)

所在地 Av. Rivadavia 2100 (esq. Rincón), Buenos Aires
電話番号 011-4952-2320
http://www.cafedelosangelitos.com/

2017.01.10(火)
文・撮影=たかせ藍沙