中国版新幹線に乗り、悠久の時を偲ばせる武漢へ

武漢の街中で出会った、アイスキャンディー屋の男の子と女の子。レトロなユニフォームと笑顔が可愛い。

 重慶で火鍋を満喫した翌朝は、一路、武漢へ。移動手段は、高速鉄道の和諧号。重慶からはおよそ6~7時間の旅だ。あらかじめネットで予約購入しておいた切符を駅構内で入手するのに右往左往してしまったものの、なんとか無事に出発。

和諧号の車内は、車内改札やワゴン販売、コーヒーのオーダーができるなど、日本の新幹線とよく似た雰囲気。
近代的な設備を備えた車両の窓から眺めるのは、内陸部ののどかな村の風景。

 湖北省の省都である武漢は、『三国志』ゆかりの地であり、辛亥革命のきっかけとなった武昌蜂起が起きたところでもある。世界史の教科書にも登場する、中国の歴史を語るうえで欠かせない場所だ。

 そんな街中には、悠久の時を偲ばせるエリアが残されている。近代建築が残る旧市街、曇華林(タンファーリン)もそのひとつ。通りには、牧師が暮らした洋館や共産党の旧跡などが立ち並ぶ。それらの合間には、古い建物を利用した雰囲気あるカフェもあって、散策にぴったり。

左:1920年、牧師の自宅として建てられた建物は、今はカフェに。
右:1895年築の仁済医院は堂々とした造り。
約1200メートルの通りに、歴史建造物やカフェ、土産物店が並ぶ曇華林。観光地ながら、庶民の息吹も感じられて、ほのぼのとした雰囲気。

 武漢でぜひ行ってみたかったのが、東湖。中国都市部にある湖としては最大の面積を誇り、一帯には湖岸の散策コースや山林が広がる、風光明媚なエリアだ。毛沢東もいたくこの場所を気に入ったそうで、別荘も建てている。

どんなところか見てみよう、と気軽に出かけた東湖。あまりの大きさに、タクシーの運転手も「どこで停めていいか分からない」ととまどうほど。
湖畔には、毛沢東の別荘が残され、博物館として公開されている。敷地内に展示されているのは、毛沢東が武漢訪問時に使用していたリムジン。
歩き疲れて湖畔のカフェでひと休み。東湖は、周恩来など歴史に名を残す政治家も多く訪れた場所。店内には、歴史的瞬間の写真が飾られていた。

2016.06.28(火)
文・撮影=芹澤和美