舞台の醍醐味と、瞬発力が必要な映画

――しかし、2007年4月から1年以上、休業されてしまいましたが、そのときの心境は?

 体調を崩してしまったんですが、「俺、何やってんやろ」と落ち込みましたね。でも、親や友達、ファンの人など、周りの人たちが待ってるよ、って言ってくれたので、ちょっと休んだ方がいい状況だったんだ、と思うようにしました。自分を正当化する気はないですけど、その1年で気付けたことはたくさんありました。それでいろいろ考えていくうちに、自分はこの仕事が好きだし、飽きやすい性格だからこの仕事以外はできひんやろな、と思ったんです。

――それでは、今後俳優としてやっていこうと思われたのは、その時期ですかね?

 俳優としてやっていこうと思ったのは、初舞台を踏んだときですね。最初の舞台は100ぐらいのキャパの劇場だったんですが、見に来た親が喜んでくれたんです。それまで、そんなに喜ばすこともなかったですから……(笑)。

 その直後に、1200以上のキャパの劇場で「テニミュ」をやって、たくさんの方に知ってもらったという環境は、ホント恵まれていましたね。舞台は毎回発見がありますし、毎回違う表現で、違う人にもなれる。巧くなればテクニックがついてくるんでしょうけど、21歳だから出せるものと28歳だから出せるものは違うし、周りとぶつかり合うことは楽しい。これは舞台の醍醐味かもしれませんね。

――その一方で、09年『新宿区歌舞伎町保育園』で映画初主演され、昨年は主演作を含む、3作が公開されました。映像と舞台との大きな違いはなんでしょうか?

 初主演作の前までは、映画にはほとんど携わったことはなかったので、不安は少しありましたが、ワクワク感がほとんどで楽しかったですよ。でも、1カ月間の稽古で作り上げていく舞台と違って、映像は瞬発力が必要だし、現場への対応力も試されますよね。

 それに、編集によって、演じた時点とは別の作品に変わってくることもあるし、やはり監督のものじゃないですか。でも、映画はいろんなジャンルの作品を見るのも好きなので、みなさんに見てもらえてうれしいですね。今は、クールでクレバーな役というよりは、やんちゃな役が多いですけど、いろんな役をやりたいですね。

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2012.01.06(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Toshiya Kondo