ディエゴ・リベラの巨大壁画はまさに必見!

ソカロの広場を見下ろすように立つメトロポリタン大聖堂。建築に200年以上もかかった、ルネサンス、バロック、新古典様式が混じる壮麗な建物。

 「ラテンアメリカ・ベストレストラン50」の会場となったサン・イルデフォンソ学院のあるセントロの歴史地区は、世界文化遺産に登録されている。ソカロという大きな広場の周りに、1573年から200年以上もかかって完成したというメトロポリタン大聖堂や大統領官邸であった国立宮殿など、見どころが集中するエリアだ。

国立宮殿の横を入ると、賑やかな通りにはレストランやショップが並ぶ。

 メキシコシティは、もともと湖だったところに、アステカ人がやってきて干拓をし、アステカ王国の首都「テノチティトラン」を築いたところだ。今もこのソカロ近くにテンプロ・マヨールというアステカの古代遺跡が姿を見せる。

 このエリアで必見といえば、国立宮殿の回廊に張り巡らせてあるディエゴ・リベラの壁画『メキシコの歴史』だろう。1920年代から30年代にかけて起こったメキシコの壁画運動は、メキシコ革命後の、ヨーロッパ主義的な芸術からメキシコの伝統に基づいた芸術への転換を、誰もが見て分かりやすい壁画の手法で表現する運動だ。

国立宮殿の階段踊り場からディエゴ・リベラが描く『メキシコの歴史』が広がる。歴史上の人物がその時代の中に描き込まれていて、中には夫人のフリーダ・カーロも。

 ディエゴ・リベラは、その代表的な画家の一人で、フリーダ・カーロの夫でもあった。階段の踊り場や回廊の壁画には、人々の生活や政治、風俗が生き生きと驚くほど精緻に描かれていて、アステカから20世紀までのメキシコの様子が一大絵巻になっているのだ。

左:アステカ人がチョコレートのカカオを採る様子。左下にディエゴ・リベラのサインが見られる。
右:回廊には延々と壁画が続く。文字がなくても理解できるための壁画だけあって、歴史を絵でたどれて面白い。

 アステカ人が湖に人工島を造りメキシコシティの原型を築いたこと、コーンやチョコレートを作り始めたこと、金銀を求めたスペイン人の渡来、そしてメキシコ独立戦争に革命と、歴史をたどることができる。パスポートを持って行けば、無料で入ることが可能だ。

Palacio Nacional(国立宮殿)
所在地 Plaza de la Constitución S/N, Centro, Cuauhtémoc, 06066 Ciudad de México, D.F.
電話番号 +52-55-3688-1255
URL http://www.palacionacionaldemexico.mx

2015.12.30(水)
文・撮影=小野アムスデン道子