お店選びのポイントは、肉、カウンター、七輪

 いくら肉が好きでも「ひとりで焼肉はちょっと……」と思っている女性は、意外と多いかもしれない。テレビCMやドラマで焼肉は、「家族団らん」「仲間とジュージュー」というシチュエイションで描かれているし、確かに焼肉の鉄板は、ひとり占めするには大きすぎるサイズだ。だから「ひとり焼肉=一緒に食べる人がいない寂しい人」と思われるのではないか……。そう思って、焼肉屋の暖簾をひとりでくぐるのを躊躇していないだろうか。

 私は、美味しい肉を食べるために、あえてひとりで焼肉屋に行く。もちろん家族や仲間と食べる焼肉は楽しいし美味しい。でも、好きなお肉を好きなだけ、焼き加減も自由自在、しかもリーズナブルにいただけるのは、ひとり焼肉の醍醐味なのだ。そこにある幸福感には、「寂しい人だと思われたくない」という雑念が入り込む余地はない。

黒毛和牛A5ランク とうがらし 1人前980円。稀少部位をひとりじめ。

 そんな至福の“ひとり焼肉歴”も、気付けば20年がたつ。そこで、私がひとりで行く焼肉屋を選ぶときの、三つのポイントをまとめてみた。

 一つ目は、お肉。ひとりで食べられるお肉の量には限りがあるため、自分好みのお肉がメニューにあるかどうかが重要。私はお肉の部位にこだわりがあるので、「ハラミ」「とうがらし」はマスト。

 二つ目は、カウンター。ふたり以上が座れるテーブル席は寂しさが募るというよりも、お店の人に申し訳ない気がしてくる(ひとりより、ふたり以上のほうがテーブル単価が高いので)。また、私はお肉を目の前にするとスマホで写真を撮りたくなるのだが、この時にもカウンター席のほうが撮りやすい。

 三つ目は、七輪。サイズがひとり向きだし、無機質な鉄板やコンロよりも、七輪のほうがぐっと気分があがる。また、じわじわとお肉が焼けていく過程を観察しつつベストな焼き加減を見極めるのに夢中になり、周りの様子は気にならない。

左:和牛厚切上ハラミ 1人前 1,680円。みんなで行くときよりワンランク上の厚切り肉をオーダー! これもひとりならではの贅沢。
右:七輪の温かい炭の灯りで、お肉とのマンツーマンコミュニケーションを。

 最近は「ひとり焼肉歓迎」をうたう店も増えているが、わざわざ探して遠くまで行かずとも、近くでふらりと行ける「マイ焼肉屋」があるのも楽しいもの。まずは行き慣れた街の焼肉屋で、みんなでわいわいするタイミングに、“ひとり焼肉”デビューに向けて店内をこっそりチェックしてみてはいかがだろう。

ホルモン道場 蔵(ほるもんどうじょう くら)
URL http://www.e-kura.org/
※写真は中野富士見町店です。

CREA WEB編集室 とうがらしハラ美(とうがらしはらみ)
編集室きってのグルメ女子。夕食はほとんど外食のため、エンゲル係数が高め。なかでも愛する肉料理は「ハムカツから牛しゃぶまで」と、幅広くリサーチ。おいしい肉料理を求めて日々、東奔西走する。

※この「CREA WEB編集室発 やっぱり肉が好き!」は、とうがらしハラ美がこれまで体験した至福の肉料理を、選りすぐってお届けする甘美なるお肉の回想記です。

Column

やっぱり肉が好き!

CREA WEB編集室きってのグルメ女子、とうがらしハラ美の甘美なる肉食回想記。ハラ美がこれまで体験した至福の肉料理を選りすぐってお届け。

2015.07.29(水)
文・撮影=とうがらしハラ美