尼さん日本画家 中田文花と遊ぶ古都風物詩

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四天王寺聖霊会舞楽大法要
~兼好法師も愛した浪速の舞楽~

聖徳太子のために奉納される雅楽と舞楽

 大阪市南部に位置する天王寺区。ビルが立ち並ぶ都会の真ん中に奇跡のように現れる大伽藍があります。およそ1400年前に聖徳太子によって創建された四天王寺です。

 度重なる天災、兵火に見舞われましたがその都度再建をとげ、今も飛鳥時代の面影を残しています。

 私はこの四天王寺のほど近くに住んでいます。夜、ジョギングにでかけるとお寺の内から笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、笛、打ち物……雅楽の妙なる音色が聞こえてきます。足を止め、私ひとりだけで聴くなんとも贅沢な春の宵。これは間もなく訪れる4月22日の『聖霊会(しょうりょうえ)』という四天王寺最大の行事のために楽人さんたちがお稽古をされているのです。

 『聖霊会』とは、読んで字のごとく、聖徳太子の御霊(みたま)をおなぐさめするための法要です。四天王寺聖霊会舞楽大法要は、国指定重要無形民俗文化財にも指定されており、六時堂前で華やかな舞楽と法要が交互に繰り広げられます。

 京都、奈良に勝るとも劣らない素晴らしい大法要がここ大阪にもあります。

鮮やかな曼珠沙華の回りを飛びかう燕が

六時堂から見た華やかな会場(えじょう)の設え。

 池の上に渡された石舞台もまた重要文化財。その四方に据えられた巨大な紅い玉が目を引きます。両手を広げても足りないくらいの直径で、表面に紅い小さな和紙の花がびっしりと貼られています。これは天上に咲く花といわれる曼珠沙華を模しているそうです。よく晴れた日には、空の青との対比がいっそう鮮やかです。よく見ると、曼珠沙華から燕の造り物がいくつも吊るされて空を飛んでいます。

 舞台の向こうには日本最大級の鼉太鼓(だだいこ)と楽人が演奏をする楽舎が左右にあります。なぜ左右にあるのかというと、大陸の音楽を取り入れて発展した雅楽には、唐楽担当の左方(さほう)と高麗楽担当の右方(うほう)と2つのチームがあるからです。

 この雅楽という音楽に舞を伴ったものを舞楽といいます。

 ちなみに後ろに大きなビルが写っていますが、日本一の超高層ビルとして近年建設されたあべのハルカスです。聖霊会の歴史的景観がこのようなことになり私は残念でなりません。

華やかな道行の列。

【道行の列は整いさ緑の風吹きぬけていざや発楽 文花】

 聖霊会は、お昼過ぎから夕方までたっぷりと時間をかけて行なわれます。古来の舞楽や雅楽、装束に興味がある方にとっては、至福の時間となることでしょう。

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2015.04.18(土)

文・撮影=中田文花

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