尼さん日本画家 中田文花と遊ぶ古都風物詩

尼さん日本画家 中田文花と遊ぶ古都風物詩

東大寺二月堂お水取り
女人禁制なのに女性が惹かれるワケは?

 はじめまして、中田文花(もんか)です。

 私は3年前に東大寺で得度(とくど)させていただきました新米の尼さんです。と言っても東大寺の尼さんではありません。在家ですので、お寺暮らしではなく、戒律を守りながら家族と普通に生活しています。

 子供の頃からお寺と日本の伝統文化が大好きで、小学校の遠足で東大寺に行った時、売店のお姉さんを見て「大きくなったら私も大仏殿でおみやげを売る人になりたい!」と心に誓いました(笑)。それは、子供なりにこの歴史あるお寺に憧れ、一観光客でない形で関わってみたいと思ったのでしょう。

 尼さんになって嬉しくて嬉しくてこんな幸せはないと思っているのですが、友人に「尼さんになるなんて何か悪いことでもあったの?」と聞かれて世間との温度差にびっくりしたものです。

 たまに大仏殿の法要に参列させていただくのですが、南都袈裟を掛けて境内を歩くのはとても誇らしく気が引き締まります。

東大寺最大の行事「お水取り」、めくるめく夢幻の世界

 さて3月になりますと東大寺最大の行事である「お水取り」の本行がはじまります。

 燃え盛る大きなお松明が二月堂を走るのをニュースでご覧になった方も多いかと思います。

二月堂の手すりの上を駆け抜ける松明の勇壮なこと。

 この行事のはじまりは天平勝宝4年(752)。それ以来、一度も絶えたことがなく、今年でなんと1264回目です。平家の焼き討ちにあった時も、戦時中も中止することはありませんでした。先人が命がけで守ってきたこの回数を感動をもってかみしめています。

 正式には「修二会(しゅにえ)」という行事で、2月に修する法会という意味です。内容は十一面悔過法要(けかほうよう)。11人の練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶たちが、観音さまに日頃の罪を懺悔し、五穀豊穣、世界の平和を祈ります。

 3月12日の深夜、行法の最中に二月堂下の若狭井にお香水(こうずい)という水を汲みに行く儀式が「お水取り」で、それがこの行事の俗称として親しまれています。

 お松明は練行衆が上堂するための道明かりで、一本の松明に一人の練行衆がついて二月堂への階段を上がります。

 3月1日から14日の期間中、19時から毎日10本(12日は11本)上がります。お水取りがはじめての方はまずこのお松明をご覧になるでしょう。

 しかし、日によっては二月堂に近づくこともできないほど混雑しますので東大寺のホームページ(外部サイト)で注意事項をよくご確認下さい。

 舞い上がる火の粉の荘厳な美しさと夜空を焦がす炎の迫力は、日常の全てを忘れさせてくれます。

 と、ここでほとんどの参拝客はお松明を見たら帰ってしまいますが、二月堂の中はこれからめくるめく夢幻の世界が繰り広げられるのです。せっかくですのでお堂の中も覗いてみませんか?

 実はこの行事、3カ月に及ぶ壮大な行事ですので説明するのはなかなか大変です。そこで全体の流れをわかりやすくご案内するために私が描いた双六です。ご参考までご覧ください!

12月から始まるお水取りの行事をひと目で。
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2015.02.28(土)

文・撮影=中田文花

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