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男性同士がケアする話をいつかやってみたい

――2022年に正社員になられたそうですね。働き方はどう変わったのでしょう? モチベーションや仕事へのスタンスも変わりましたか。

 派遣のときは自分で企画を通さないとプロデューサーができなかったんですけど、社員になるとそれだけでなく他の人の企画で一緒にプロデューサーをやるようなことも出てきます。「いつクビになっちゃってもこの仕事で生きていけるようにしなくちゃ」と自分自身に関してすごく必死になっていたところから、「会社の役に立てたらいいな」というような視座が生まれました。

――最初に手掛けた『チェリまほ』が大ヒットしたことで、プレッシャーを感じる場面はなかったんでしょうか。

 誰かから何かを言われたことはあんまりなかったんですが、初めての企画・プロデュースで無我夢中でやったものが結果に恵まれ、いろんな人がいろんな言葉で評価してくれて、「でもその言葉に自分は見合ってなくない?」と感じていた時期はありました。
 だけど、『チェリまほ』にアソシエイトPで入ってくれた浅野(太)が「これからも本間らしい作品をつくっていこうね」と言ってくれたり、『うきわ』のCPをやってくれた阿部(真士)も「いい作品をつくっていこう」と言ってくれたり、周りの評価軸とは関係ないところから言葉をくれる人が身近にいた。それで「自分のペースで頑張っていこう」と思えています。

――最後に、「今後こんな作品をつくりたい」という夢があれば教えてください。

 男性同士がケアする話をいつかやってみたいな、とは思っています。ただ、あんまり先のことが考えられない性格で……。だから「考えついたらいいな」「考えつくかな〜?」くらいの気持ちでいます(笑)。

本間かなみ

派遣社員での勤務を経て、2022年テレビ東京入社。ドラマプロデューサー。これまでのプロデュース作品はドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『うきわー友達以上、不倫未満―』など。最新作は『SHUT UP』。

『SHUT UP』

『SHUT UP』は動画配信サービス「U-NEXT」「Lemino」にて全話見放題配信中。
U-NEXT https://t.unext.jp/r/tv-tokyo_pr
Lemino https://lemino.docomo.ne.jp/

次の話を読む「原動力は怒りだったけど今は共感。 昔の自分と同じように悩んでいる 若い世代のためにドラマを作りたい」

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Column

テレビマンって呼ばないで

配信プラットフォームが活況を呈し、テレビの観られ方が大幅に変わりつつある今、番組のつくり方にもこれまでとは違う潮流が勃興しています。その変化の中で女性ディレクター/プロデューサーは、どのような矜持を持って自分が面白いと思うものを生み出しているのか。その仕事論やテレビ愛を聞く連載です。

2024.03.27(水)
文=斎藤 岬
撮影=平松市聖