原則定価の販売戦略に変化が!
あのアマンキラも62,000円で

バリ島のアマンキラ。
バリ島のアマンキラ。

 アマンリゾーツといえば、世界中にあまたあるチェーン系のホテル&リゾートのなかでも最高峰に位置することに異論を唱える人は多くないと思います。

 1988年、創業者のエイドリアン・ゼッカがプーケット島にアマンプリを開業して以来、アマンリゾーツは世界各地に展開し、2019年6月現在、21カ国に34のリゾートを擁しています(2019年11月にはアマン京都がオープン予定)。

 限定された部屋数に比して多数のスタッフによるきめこまやかなサービス、リゾートをとりまく地域独自の文化を生かしたコンセプトは、その後のリゾートのあり方に大きな影響を与えました。

 当然のことながらアマンリゾーツの宿泊費はお手頃とはいえません。さらに一時期は毎年コンスタントに50ドルずつルームレートが上昇するなど、なかなか手が届きにくい存在になってしまいました。

 アマンリゾーツの価格設定に見られる特徴として、

1. 原則的に定価のみ。
2. 原則として大手のオンライン旅行会社での取り扱いがない。
3. 近年ではすっかりおなじみとなった、宿泊日ごとの細かな価格変動制はとらず、年間を通じて数段階のゆるやかな価格差しかつけない。

 ことなどがあげられます。そして、いわゆる閑散期であってもさほどリーズナブルな価格にはなりませんでした。

 そのアマンリゾーツが、最近になり、販売戦略を少し変えてきているように感じています。

 たとえば、上海に拠点を置く、オンライン旅行会社のシートリップのサイト、トリップドットコム(Trip.com)では、一部のアマンリゾーツについて、ディスカウント料金での販売が見られるようになっています。

 たとえば、建築家エド・タトルによる設計で、ライステラスをイメージした三段プールがあまりにも有名なバリ島のアマンキラ。

 2019年7月上旬の1泊1室2名での宿泊費は61,629円(ガーデンスイート・朝食込み)です(2019年6月下旬時点)。

 この料金は全額前払いでキャンセル不可の料金ですが、同じ日の宿泊をアマンリゾーツの公式サイトで調べてみると、オーシャンスイートが121,805円(930ドルに税・サービス料をくわえた金額)。

 トリップドットコムはガーデンスイート、公式サイトはオーシャンスイートと部屋のカテゴリーの違い(眺望の違い)はありますが、宿泊費が半額に近いのは非常に魅力的です。

 ちなみに公式サイトでの底値はガーデンスイートで総額95,611円(730ドルに税・サービス料をくわえた金額)。そこから比較しても35%以上も割り引かれていることになります。

 では、トリップドットコムでとればよいのではないかと思われるかもしれませんが、話はやや複雑です。

2019.06.27(木)
文=橋賀秀紀