1839年から愛され続ける
カジュアルなレストラン

 セントロ地区のソル広場から、プラド美術館へと繋がるサン・ヘロニモ通り。人通りが絶えないにぎやかな通りに面したレストラン「ラルディ」の創業は1839年。

 「ボティン」と同様、こちらも激動の時代を経てなお営業をつづけてきた老舗レストランだ。

 1階はパイやコロッケ、ペストリーなどをテイクアウトもできるカフェテリア。らせん階段を上った2階にはメインダイニングルームと5つの個室がある。

 インテリアは、1880年頃に、パリで学んだ建築家が手がけた。メインダイニングの重厚な壁紙や、壁に掛けられた鏡は当時のものだ。

 訪れたのは昼前だったが、1階は大勢の地元の人々でごったがえしていた。昼食を14時頃から食べるマドリードの皆さんの、午前中の軽食タイムだった。

 ペストリーを買って帰る人、その場でコーヒーを飲みながらパイをほおばる人など、皆さんおしゃべりに余念がない。

 その人の波をかきわけて奥へ。慣れた手つきで次々とコーヒーを注いでいる年配のウェイターさんがいた。

 さっそくコーヒーをお願いすると、銀の大きなポットからカップに、香りを放ちながら琥珀色のコーヒーが注がれる。お供はコロッケと小ぶりなミートパイ。

 小腹を満たしたところで(その後に昼食の予定があった。笑)、営業前のレストランを見せていただくことに。

 年代物のらせん階段を上って2階へ。インテリアは、創業当時に流行っていたというフランス風。どの部屋も歴史を感じさせるインテリアだ。

 個室にはそれぞれテーマがあり、「ジャパニーズ・ルーム」という部屋もあって、戦国武将の像が飾られていた。各界のトップセレブリティたちが食事を楽しむのはこのような個室だ。

 次回はおやつタイムではなく、代々受け継がれているレシピのコンソメスープやコシード(スペイン風シチュー)のために来なくては、と思ったのだった。

Lhardy(ラルディ)

所在地 Carrera de San Jerónimo 8, 28014 Madrid
http://lhardy.com/

2019.01.19(土)
文・撮影=たかせ藍沙