美味しく、健康的で、サステイナブルな食への意識が高まる昨今生産者直売のファーマーズ・マーケットがトレンドになりこだわりの食材を手作りする人々も増えた。ロンドンの食文化を担うクラフト食材の生産者たちに話を聞く。

» 第2回 ビールに合う最高のサラミ
» 第3回 ロンドン産のハチミツ
» 第4回 手造りのオリジナルヴィネガー

グリュイエールを彷彿させる
食感とナッツのようなコク

●Bermondsey Hard Pressed Cheese
(バーモンジー・ハード・プレスト・チーズ)

「カッパカゼイン・デアリー」オーナーのビル・オグルソープさん。

 ザンビアで生まれ、スイスで農業を学んだというビル・オグルソープさん。

チーズは6カ月以上かけて、ゆっくりと熟成。丁寧な工程が旨味を引き出す。

 英国移住後、「アルプス産のようなシンプルなチーズを作りたい」と思いたち、ロンドンのチーズ店「ニールズ・ヤード・デアリー」に勤務し、さらにフランスでの修業を経て2008年に独立。テムズ川の南岸、バーモンジーの高架下に展開する食の台所「スパ・ターミナス」と呼ばれるエリアにチーズ製造所を構えた。

ラクレット 24ポンド、ハード・プレスト・チーズ 28ポンド、フライヤー 16ポンド、リコッタ 14ポンド(各1kgあたりの値段)。ヨーグルト 500ml 3ポンド。
ホエイ(乳清)を使ったバターは素朴で優しい味。250g 4.15ポンド。

 ケントの牧場からほぼ毎朝、自分でオーガニックミルクを運び、昔ながらの手作業で作るこだわりようだ。ハード・プレスト・チーズは、スイス産グリュイエールを彷彿させる食感とナッツのようなコクが特徴。

低温殺菌されていない新鮮なオーガニックミルクを運ぶ。
左:チーズの風味や匂いをチェック。
右:熟成室にずらりと並んだチーズ。
左:土曜のみ製造所で直売。試食も可能。
右:バラ・マーケットでは、チーズトーストとラクレットを販売(ともに6ポンド)。いつも長い列ができる人気ぶり。
左:直火で温め、溶けたチーズを削ぎ、茹でたジャガイモと食す。
右:ラクレット用のジャガイモ。

Kappacasein Dairy
(カッパカゼイン・デアリー)

所在地 1 Voyager Industrial Estate, Spa Road, London SE16 4RP
電話番号 020-7394-5520
営業時間 土曜 9:00~14:00
http://kappacasein.com/
※バラ・マーケットにチーズトーストとラクレットの出店あり

Borough Market
(バラ・マーケット)

所在地 1 Stoney Street, London SE1 9AA
営業時間 11:00~17:00、金曜 10:00~、土曜 9:00~
定休日 日曜

取材・文=名取由恵
撮影=橋本 篤