「イギリスの食事は……」というのも今は昔。優れた食材が揃う南西部、デヴォン地域には腕利きのシェフたちが集う。彼らの拠点を訪ねれば、英国の食に対する偏見が吹き飛ぶはずだ。

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2ツ星を18年維持したシェフが
こだわりのホテルを開業

◆Lympstone Manor
(リンプストン・マナー)

ツナとホタテのミルフィーユにはキャビアが添えられる。ソルベ状のシトラスやワサビクリーム、ソイビネガーの風味が爽やか。料理はすべてシグネチャー・テイスティングメニュー(140ポンド)の一品。

 デヴォンの美食家たちの間で2017年最大のニュースは、シェフのマイケル・ケインズ氏が3つのダイニングを備えたホテルを開業したこと。ケインズ氏は、ギドリー・パークというデヴォンのレストランで18年間もミシュラン2ツ星を維持したことで知られるスターシェフだ。

眺めのいいテラス。

 エクセターから車で約30分。オープン間もないリンプストン・マナーを訪ねると、広大な庭越しに海を見下ろすという、素晴らしい立地に心が躍る。ホテルは18世紀のジョージアン様式の建物をリニューアルし、調度品から壁に掛かる絵まで、ケインズ氏のこだわりを反映させた。

3つのダイニングルームで最も豪華な設いの「ベリー・ヘッド」。

 彼は「ギドリー・パークのヘッドシェフを務めながら、ホテルのレストラン立ち上げなど様々なプロジェクトに参加しました。その経験が役に立っています」と語る。

 お待ちかねのディナーの前に、デヴォン生まれのケインズ氏が、このエリアの魅力を教えてくれた。

「土地が肥沃で、気候も農業や畜産に向いています。しかも優れた漁場にも恵まれた食材の宝庫なのです」

左:デヴォンのダーツ・ファーム産ビーフを用いたフィレステーキ。ほほ肉の煮込みやエシャロットをちりばめた賑やかで楽しい一皿。
右:この日のデザートはストロベリームース。

 料理にはどれも唸らされる。アイディアや盛り付けは大胆で斬新なのに、味は繊細なのだ。なるほど、これだけの料理には飛び抜けた立地やラグジュアリーな部屋でなければバランスが取れないわけだ。

ワインルームでは、ソムリエのアドバイスを受けながらワインを楽しめる。
2室あるスーペリアスイートのうち、部屋が広いのがこの「ヘロン(アオサギ)」という部屋。
(C)David Griffen

マイケル・ケインズ氏は1969年デヴォン生まれ。25歳でギドリー・パークのヘッドシェフに就任すると、5年後にミシュラン2ツ星を獲得。現在は財団を設立して慈善事業に取り組むことでも知られる。BBCで放映される料理番組も人気。

Lympstone Manor
(リンプストン・マナー)

所在地 Courtlands Lane, Exmouth EX8 3NZ
電話番号 01395-202040
客室数 21室
料金 クラシック・ガーデン 255ポンド~
https://lympstonemanor.co.uk/

●デヴォン地域
アクセス ロンドンからデヴォンの中心都市エクセターまで電車で約2時間30分

Feature

英国の美食エリア
デヴォンのレストラン3選

取材・文=サトータケシ
撮影=小野祐次
コーディネイト=小川ヒギンス美穂子
協力=英国政府観光庁