「むしやしない」とは、「一時的に空腹を紛らすこと。また、その食べ物」と『大辞林』にあります。そんなはんなりした京ことばを店名にしたお店を京都市左京区一乗寺で発見。叡山電鉄・一乗寺駅から東へ歩くこと約3分。テラスのある入りやすいお店の外壁には「648471」と数字が並んでいます。そう、「むしやしない」の数字表記なんです。

ベンチもあるゆったりしたアプローチ。
生ケーキが並ぶショウケース。

 お店に入ると、正面に生ケーキが並ぶショウケース。右手には様々な焼き菓子。ゆったりしたイートインスペースもあります。

オーナーパティシエの鵜野友紀子さん。

 オーナーパティシエは、鵜野(うの)友紀子さん。スタートは、菓子職人ではなく料理人でした。創作料理店を営み、マスコミでも活躍する師匠から「いい舌をもっている」と言われて仕事に励んだと言います。

 「月1回、舌を肥やせ」という教えを守って食べ歩き、フランス料理の皿盛りのデザート・アシェットデセールに興味を持って、24歳で洋菓子の世界へ。「素材の組み合わせや多彩な食感の面白さに魅かれました」と鵜野さん。

「実は、甘いものは好きではなかったんです(笑)。けれど、研修旅行で訪れたフランスで食べたお菓子がすごくおいしくて」

 プティフールのお店をやりたいと夢を抱き、出身地である京都へ。

 「お重箱に入った和のイメージのプティフール」「舞妓さんに食べてほしい」。そんな夢を叶えるお店を、2006年10月にオープンしました。

ついおしゃべりが弾みそうな雰囲気のイートインスペース。
「むしや花こふれランチ」3,000円。3日前までに要予約。

 「むしやしない」で、ぜひ食べたいのが「むしや花こふれランチ」。直径4.5センチの季節のプティフールの他、小さな豆乳キッシュや豆乳パンなど、15品の折詰。

 「京都には手まり寿司があります。だから、手まりケーキがあってもいい。開業時からずっとやりたかったのがこれ」と鵜野さんはにっこり。

 取材時は、いちごのショートケーキ、チョコレートケーキ、抹茶のタルト、おとうふチーズ、エクレア、豆乳プリンのタルト、ミラクル*ティラミス、わらび餅などの甘いお菓子と、アパレイユ(生地)に自家製ちりめん山椒、自家製黒毛和牛の時雨煮、豆乳のグリーンカレーペーストをそれぞれ使った小さな豆乳キッシュ、豆乳を使ったプチパンも。

 多彩な味が楽しめて、満足度の高い逸品。おからを炒った、香ばしいおから茶が付いていて、とてもよく合う。

 同じスタイルで、15種類の小さなケーキ色々を詰め合わせたのが、プティフール「むしや花こふれ」。「フランスで知った私の原点の形をようやく実現できました。京懐石のように、四季折々の和の素材を使っています」。テイクアウト専用で、スイーツ好きへのお土産にぴったり。冷凍で発送も可能です。こちらもランチと同じく、3日前までに予約が必要です。

 「カフェで、ケーキを重箱でお出ししたかったんです」と鵜野さん。2個以上の注文で、塗りのお重に詰め合わせられ、竹のフォークで。京都らしい和の演出が楽しい。

 ドリンクを注文したら、付き出しに1粒、抹茶のフィナンシェが付いてくるのもうれしい。

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2017.10.22(日)
文・撮影=そおだよおこ

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