#132 Espiritu Santo Island
エスピリトゥ・サント島(メキシコ)
“世界の水族館”と呼ばれる豊饒の海
かつて紹介したメキシコのラパスを移動の際の拠点とするエスピリトゥ・サント島は、コルテス海に浮かぶ、メキシコで12番目に大きな島です。
長さ約19.6キロ、幅約5キロ、面積約9000ヘクタール以上もある島の、バハ・カリフォルニア半島側を向いた西海岸にはヒダのように無数に岬が突き出し、いくつもの湾が続いています。北のパルティダ島とは、細い水路で分かれています。
“聖霊の島”という意味をもつエスピリトゥ・サント島は、コルテス海(カリフォルニア湾)が世界遺産になる以前の1995年、ユネスコの生物圏保護地域に指定されています。
そもそもこのコルテス海は、スキューバダイビングの発明者のひとりである、フランスの海洋探検家にして、海洋学者のジャック・イヴ・クストーに“世界の水族館”といわしめた豊饒の海。
かつてメキシコ本土とバハ・カリフォルニア半島は陸続きであったのが、地殻変動によって分断され、太平洋がその裂け目に流れ込み、コルテス海が形成されました。この裂け目に、何百もの魚や海洋生物たちがドドッと飛び込み、これがまさに母なる自然が作りだしたフィッシュトラップに。
エスピリトゥ・サント島へ行くには、ダイブクルーズ、キャンプ、日帰りクルーズの3つの方法があります。本格的なアウトドア派やダイバーでなくても、日帰りクルーズなら気軽に参加ができます。
右:移動中はスタッフがタコスなどメキシコ料理をサーブ。
午前9時、ラパスからカタマラン(双胴船)に乗り込み、エスピリトゥ・サント島へ。
2時間あまりある移動時間は、船首に張られたネットにごろんと横たわり、くつろぎタイム。船底が海面を切り開く波音と、マストが受ける風音、そして陽気なカリプソの音楽があいまって、洋上の気分を盛り上げてくれます。
時折、モブラ(エイの一種)が水面をパタパタパタとヒレで羽ばたく姿を目にすることも。そしてじりじりと照りつける、眩しい太陽が心地いい……。
2017.09.09(土)
文=古関千恵子