◆中国快餐店 (松陰神社前)
ビッグテーブルへと
続々と運ばれる圧巻の料理
おっと、うっかり通り過ぎてしまったようだ。
世田谷線を松陰神社前で下車し、てくてく。インドからやってきた娘婿が頑張っている焼き鳥店、うまいおでん種が揃うおがわ屋など、小さいながらいい店が並ぶ商店街……。そんなことを考えながら歩いていたら、目的の店を過ぎてしまった。Google Mapを頼りに戻ってみると、表札のない一軒家が。おそるおそる引き戸を開けてみる。
「夜は完全予約制の貸し切りのみなので、関係ない人が入ってこないように看板を出していないんです」というのはシェフの和田さん。そう、神田の人気四川料理店「五指山」が、松蔭神社前に移転……、ではなく、5年ぶりに古巣に戻ってきたのだ。しかも、「中国快餐店」と名前を変えて。
店内はテーブル4卓をくっつけて、ビッグテーブルのような状態。ここで今夜10名が宴を楽しむ。
夜は3,000円からのお任せメニューとなっていて、予約は2名から。
店内に置かれた印刷物には、
(1) 三種冷菜盛り合わせ
(2) 季節野菜の炒め
(3) 肉料理1品
(4) 海鮮料理1品
(5) 点心1品
(6) 麺飯1品
(7) 杏仁豆腐
3名~4名(全8品)、5~8名(全9品)、10名以上(全10品)
と、書かれている。
10名以上揃うとすばらしいものが出てくるらしい。さらに、ひとつ上の5,000円コース(予約は4名から)ならば、めったにお目にかかれない食材も供されるという。食の好奇心が旺盛な私たちは当然5,000円コース。ここに飲み放題2,000円を付け、1人7,000円。
前菜が次々と運ばれてくる。
色鮮やかな空豆の煮こごりと、ホタルイカの老酒漬け。
クラゲ、牛ハツ、鴨砂肝。ニンニクの風味が利いたクラゲに、ビールが止まらない。
ピータンと布豆腐をサラダ仕立てで。
牛アキレス腱と蝦子の煮こごり。
「五指山」の印象から、四川料理が前に出たものが来ると思いきや、上海の家常菜のニュアンス。というのも、ホールを担当する女性が上海出身だからだそうだ。和田さんとふたりで切り盛り。
温かい料理も次々と。インゲンと海老ペーストの炒め。刻んだ唐辛子でピリ辛に。
長芋に塩卵(鹹蛋)をまとわせた揚げもの。
2017.08.07(月)
文・撮影=Keiko Spice