海抜2240メートルの高原盆地に位置する、メキシコの首都メキシコシティ。人口約2000万人というこの巨大都市から北へ向かう旅で出合うのは、カラフルな街並みや民芸品、ワインにメキシカングルメ……。歴史と現代が融合するメキシコ中央高原への旅は、発見と感動に満ちていた。

 グアナファトから車で約1時間走った場所にある小さな街、ドローレス・イダルゴは、メキシコ立国の歴史を語るうえでは外せない名所。1810年9月16日、ミゲル・イダルゴ神父が、ドローレス教区教会の鐘を打ち鳴らし、「Viva Independencia!(独立万歳!)」の掛け声のもとに、この地からメキシコ独立戦争をスタートさせた。

中心部にある広場には、「メキシコ独立の父」と称される、独立戦争の初期の指導者、ミゲル・イダルゴ神父の銅像が。

 現在では、ドローレス教区教会前は広場になっており、ファミリーや学生がベンチに腰掛けて、楽しげにくつろいでいる様子を見ることができる。

オシャレな地元の女子高生たち。「美味しいジェラート屋さんがあるわよ」と教えてくれた。

人気のジェラート屋台で出会った
「Beso de Angel(天使のキス)」

 ドローレス教区教会の前でマリアさんが営むジェラート屋台は、広場の中にいくつかある屋台の中でも客の絶えない繁盛店だ。テキーラ、アボカド、カヘタ(メキシコ名物のヤギのミルクで作ったキャラメル)など約30種類あるフレーバーは、すべてマリアさんの手作り。お願いすれば、試食もさせてくれるので、いろいろトライして選んでみて!

「昔から、メキシコ人は悲しいことがあったらアイスを食べて元気を出すのよ」とマリアさん。
迷いに迷って、「Beso de Angel(天使のキス)」というキュートな名前のジェラートをチョイス。ほんのりチェリー風味で、思わず笑みがこぼれる美味しさ。

 街の外れの道路沿いには、民芸品を扱う小さなショップがずらり。色とりどりの個性的な模様がおしゃれな「メキシカンタイル」や、陶器で有名なプエブラ州発祥の「タラベラ焼」など、買い物欲をくすぐる愛らしいアイテムが満載だ。

メキシコでは、テーブルやイス、壁などに好みのタイルを貼り込み、インテリアをDIYするのが主流なのだそう。
水やジュースを注ぐサーバーとして活用されている大きな甕。花やフルーツなど、インパクト大の絵柄に目が釘付け。

2017.07.15(土)
文・撮影=中山理佐