小川カズのいい加減でアロハな裏ハワイ

小川カズのいい加減でアロハな裏ハワイ

ホノルルのカラカウア大通りに 
驚愕必至の極上タイ料理店が出現!

欧州の風漂う怪しい心地よさと
美味しいタイ料理

 今から30数年前になりますが、僕が初めてハワイを訪れたその当時、島で一番オシャレで流行っていたお店といえば……、店内に入るとまず額に飾られたハリウッドスターをはじめとする世界中のセレブ達の写真がディスプレイされた壁がまず目に飛び込んでくるのが印象的で、毎晩ワールドワイドなお客で大賑わいだった、1981年にカパフル通りにオープンした一軒家のタイ料理店「Keo's Thai Cuisine(ケオス・タイ・キュイジーヌ)」でありました。

 とにかくこの頃といえば、到着したその日の晩は必ずやこの大人気店「ケオス」に出向き、あの異国情緒溢れる独特な店内の中で可愛く「チチ」なんかを飲みつつも、時差ぼけで船を漕ぎながら、「あ~またハワイに戻ってこれたんだなぁ~」と実感して、大喜びしていた時期。

夕暮れのころが最高のハワイ。

 とにかく当時、一番ハワイらしいと思えた場所がワイキキビーチでもなくダイアモンドヘッドでもなく、このタイ料理屋さんだったわけですから、それだけ聞いだけでもどれだけ「ハワイと言えばケオス!」といった時代だったかおわかりかと思います。

 ここのオーナーシェフであり、ノースに野菜やスパイス等の大きな農園も経営するケオ・ナニコネ氏は、当時ハワイでは物珍しかったタイ料理を広めた先駆者でありまして、1977年に初めてのお店「メコン・レストラン」を出店して以来、1981年にこの「ケオス・タイ・キュイジーヌ」、翌1982年にはサウスキング通りに「メコンII」を続々とオープンさせ、一躍ハワイにタイ料理ブームを演出した張本人。

 同じ系列、同じタイ料理とはいえ、どのレストランもそれぞれのオリジナリティのある味覚を打ち出していたので、お客サイドからも好みの味を求めてどのお店が自分の舌に合うかを選ぶようになっていったのもこの頃からでして、僕的にもハワイらしい時間を過ごすには「ケオス」が一番でしたが、味からすれば断然一番パンチの効いていた「メコンII」派でありました。

 ところが、一大タイ料理帝国を作ったように見えた矢先に、最高のロケーションとインテリア、最高にVIPな客層とオリジナリティのある料理であれだけ大人気だったフランチャイズ「ケオス・タイ・キュイジーヌ」を、今から20年ほど前に、お金に目が眩んだのか、いきなりワイキキのど真ん中にある「アンバサダーホテル」の1階に移転させてしまい、最初は儲かったかもしれませんが、当然のごとく客層は世界のセレブからただの観光客のみに代わり、店の雰囲気やサービス、そして味までもがパッとしなくなり、いつしか僕らも足が遠のく結果となってしまいました。

 ただ相変わらず、最初から豪華さのかけらもないものの素朴でハワイらしい店造りの「メコンII」は安泰でしたので、まぁ別に困りはしないだろうとタカをくくっておりましたら、なんとその「メコンII」がいきなり2012年に突如閉店。

 そして一応表向きはホテル売却による契約終了という理由ではありますが、やっぱり「ケオス・タイ・キュイジーヌ」も2014年に閉店。最後に残された「ケオス」の姉妹店で、やはり同じワイキキの「オハナ・イースト・ホテル」1階にあった「ケオニ・バイ・ケオス」も2016年に閉店と、ついに一大栄華を誇った「ケオス帝国」はここに幕を閉じることとなりました。

 「PHUKET THAI(プーケット・タイ)」や「Chiang-Mai Thai Cuisine(チェンマイ・タイ・キュイジーヌ)」等々、美味しくて有名なタイ料理店は他にもいくつか存在はしていますが、僕的にはどこも今ひとつわざわざ車を走らせるほどの好感触は持てておらず、どうしたもんだかと思っていた時に偶然近所に現れた謎の「HARUE THAI CHISINE」の怪しすぎる内装と、大ボリュームで流れる、とにかくやたらと選曲が心地よい「ボッサ」の毒牙にハマり、この店の虜になってしまいした。

爽やかなハワイの風とよく合う美味しいタイ料理。

 今、ハワイでエスニックというと、どちらかというと「ヴェトナミーズ」の勢力が強まっていて今ひとつ元気のない「タイ料理」ですが、がっつり食べるのではなく、カフェとしてもバーとしても使えて、いざお腹が減ったら美味しいタイ料理がいただける。

 それもカフェ飯みたいな“なんちゃってご飯”じゃなくて、しっかり本物を提供する。そんな便利で新しい感覚のお店は、まさに今の激しく流れが変わりつつあるハワイにもってこいなんじゃないかなぁ。

 場所はワイキキからだとカラカウア通りをアラモアナ方面に逆走して「チーズバーガーワイキキ」や「ワイキキ・ブリューイング・カンパニー」が目印のアラモアナ・ブールバードとの交差点を越してさらに少しだけ直進した左サイド。突如ハワイとは思えない異空間が現れますのですぐにわかるはず。

 もちろん日本人はまず誰もおりませんが、僕のお墨付きですので安心して、ハワイらしからぬ、遠いヨーロッパの風漂う怪しい心地よさと美味しいタイ料理ををご堪能くださいね~。

HARUE THAI CUISINE
(ハルエ・タイ・キュイジーヌ)

https://www.facebook.com/Cafe-GRAND-HARUE-758708264182808/

小川カズ(おがわ かず)
ファッションディレクター&フォトグラファー。東京、青山生まれ。80年代半ばから当時まだ数少ないスタイリストとして活動を開始し、堺正章、石田純一、片岡鶴太郎、武田修宏などを担当する。99年からはフォトグラファーとしても活躍。ハワイと東京に拠点を構えて活動する。

 

2017.05.18(木)

文・撮影=小川カズ

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