韓流イタリアンからタイ料理へ
業態をチェンジして大人気!

 我が家からわずか2~3分、1ブロックほどワイキキ方面に向かったところの右側に、今や知らない人がいないほど大ブームになった、1974年創業の「Eggs'n Things(エッグスンシングス)」のまだローカルにしか知られていない初期のお店がありました。

 ジェリー&ジャン・フクナガ夫妻が始めた初期の頃は、小さくてやや暗い雰囲気を漂わせた店ではありましたが、労働者たちが遅い時間に仕事を終えても、それからお腹いっぱい食べられるように、なんと夜中にオープンして昼ごろに閉めるといった“ALOHAスピリッツ”がいっぱい詰まったシステムでありました。

 当時はワイキキですらまだ夜中に外を歩くのは危ないとされていた時代ですから、日本の観光客が行くにはとても勇気が必要な場所でありました。

 そんな「エッグスンシングス」が一番いい時代をおくった店舗の跡地に2015年6月、元々は韓国で有名芸能人も集う店として6店舗も展開していた人気店「カフェ・グランド・ハルエ」がハワイに移転してリニューアルオープン!!

元々は韓国で有名芸能人も集う人気店「カフェ・グランド・ハルエ」。

 何と言ってもココのこだわりは、オーナーがわざわざフランスから取り寄せたアンティーク家具の数々!!

 絵画においては19世紀のコンテンポラリーネオクラシックの名画が所狭しと飾られており、天井画を含めその価値はゆうに50万ドルを越えるとの噂……。

19世紀のコンテンポラリーネオクラシックの名画。

 ヨーロッパ調のレトロで落ち着いた雰囲気の中、テラス席からのハワイらしい風の流れが心地よく店内を通り抜け、外のカラカウアストリートの景色とのアンバランス感とともに、不思議な癒し感を醸し出します。

レトロで落ち着いた雰囲気の中、テラス席からのハワイらしい風の流れる店。

 開店当初は「リコッタ・チーズ・パンケーキ」や「フレンチトースト」らのブレックファーストメニューからパスタ、ラザニア、ピッツァなどのメニューが並ぶ、いわゆる「韓流イタリアン」としてオープンして人気を得つつあったのですが、わずか2カ月でオーナーとシェフの間でいざこざが起こり、いきなりすべてのメニューを全く異なった「タイ料理」にオールチェンジし、「HARUE THAI CUISINE(ハルエ・タイ・キュイジーヌ)」として早くも再出発。ところがこれがメチャ美味いんであります!!

タイ料理として再出発した「HARUE THAI CUISINE」。

 「CHARDONNAY」を飲みながら、まずはそんなに好きでも嫌いでもないはずの「グリーンパパイヤサラダ」。ところがこれが今まで食べたパパイヤサラダはなんだったんだろうというぐらい甘味と酸味のマリアージュが完璧でありまして、しまいには抱えて食べてしまうほど旨くてびっくり!!

甘味と酸味のマリアージュが完璧な「グリーンパパイヤサラダ」は白ワインと合わせて。

 「クラブミート(蟹)カレー」は僕の苦手とするまさかのフルーツ入り(パイナップル)なんですが、決して嫌じゃないマイルドな甘み……。まぁカレーというよりブラジル料理の「モケカ」に近い味わいとでもいいましょうか。

「クラブミートカレー」と「スパイシーチキンのバジル炒め」。

 「スパイシーチキンのバジル炒め」なんかと一緒にいただいちゃったりすれば、甘さと辛さが口の中で溶け合ってなんとも言えない美味しい化学反応を起こし、サイドオーダーのスティッキーライスとの相性も抜群!! いやいや、あなどれません……。

 なんせ雰囲気がレストランというより、中近東のラウンジバーのイメージなので、がっつり食べるもよし、軽く飲みながら「パッタイ」あたりだけでさらっと仕上げるのもよし、みたいに、その時その時の状況によって様々な使い勝手が自由にチョイスできるので、メチャ便利なわけであります。

2017.05.18(木)
文・撮影=小川カズ