Vol.018 吐息でネット|南野陽子

確かに充実したアニメガイドではあるが……

表紙画を描いたのは『君の名は。』のキャラクターデザインを手がけたことでも知られる田中将賀さん。この女性が着ているのは、バーバリーの最新コレクションだという。ちなみに、筆者はファッションに疎いので、バーバリーというのはバーバパパ一家の一員かと思っていた。

 こんにちは。岡山の奇跡こと、CREA WEB編集長のヤングです。

 現在発売中のCREA3月号の特集は、「みんなアニメに夢中」。売れ行きも絶好調のようで、まったくもってご同慶の至りである。

 この特集名の上には、「大人のためのアニメガイド」なる小さな文字が添えられているので、ああ、小島功先生が手がけたカッパ黄桜のCMや、牛次郎先生原作・横山まさみち先生作画の『やる気まんまん』のアニメ版などといった名作が紹介されているのだなと早合点したが、……何だこれ、俺が期待してたのと全然違うじゃねえか!

 えー、本題に入る前に言っておくが、『やる気まんまん』のアニメ版は相当驚く内容なので機会があれば観た方がいい。全盛期の鈴木則文監督作品みたいな中身だと言えば、分かる読者には分かるだろう。あと、できれば杉作J太郎監督がメガホンを執った実写版も。

“超娯楽艶笑エンタテインメント!”なるキャッチコピーを掲げた『やる気まんまん』実写版。主演は現在人気沸騰中の若手俳優・太賀の父親としても知られる中野英雄。掟ポルシェの怪演も見どころのひとつである(というか、全キャストが怪演しかしてないのだが)。

 誌面の詳細は目次を見ていただきたい。まあ、CREA読者にとってはこれでいいのかもしれないが、45年にわたり馬齢を重ね、夕方に隣の部署に配達される夕刊フジと日刊ゲンダイを読み比べることを日々の主な楽しみにして生きている正真正銘の大人たる俺にとっては、こんな程度では大人のためのアニメとは言えないんだよ!

CREA3月号は2月7日に発売された。ニッパチ、すなわち2月と8月は雑誌の売上が落ち込むということで、各誌、冒険的な試みを行うことが多いのだが、その博打が見事に当たった感じである。

 ……と、誰ひとりとしてシンパシーを覚えてはもらえそうにない啖呵を切った勢いで夜通しゴールデン街で痛飲した徹夜明け、歌舞伎町のサウナに60分ほど籠ってみたら、「じゅん散歩」の通販コーナーが始まるあたりでフラフラしてきた。ここから逃げ出し、休憩スペースへ行こう。

 ロッカーに入れた7、8年この方使っているcherのトートバッグからCREAを取り出し、前夜の深酒とサウナの湯気でしょぼついた目で表紙に視線をやると、「みんなアミメに夢中」と書いてあるように見えた。

 キター! 天啓!! ということで、ここからは、俺がCREA初のアミメ特集の内容を勝手に企画していくことにするよ。

2017.03.05(日)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋