やっぱり究極の6ハンズ・マッサージ

開放感のあるトリートメントルームは、居心地満点。心地よさ全開でリラックスできる。

 場所を移して新装オープンしたのがJARA SPAだ。樹齢100年を超えるという、神性をもつイチジクの木に包まれるようにしてできたスパは、明るくもこころ落ち着く仕様。スパ自体のコンセプトも、この木をもとに5つの核からつくり上げられている。

 木の“根”が象徴するのは元気回復や若返り。“幹”は文字どおり体幹ということか、フィットネスやフィジカルを表して、力とバランスを意味する。“枝”は育ち続けるということからアンチエイジング。“葉と果実”は歓びが持つ力。最後に“スピリチュアリティ”ということで、こころと身体をシンボライズする。

クッキングスクールのように整列した材料が、癒しの素。
スパ棟を抱くように立つイチジクの木には、神性が宿る。タイではどこでも見かける祠がここにもあります。

 スパには新しく3泊のリトリートプログラムが誕生し、セラピストとトレーナー、コンサルタントのチームが徹底的なお身体リフレッシュ調整プログラムを組んでくれる。食事から運動、そしてもちろんトリートメントと総合的なケアが受けられるのだが、忙しい人には凝縮して1日でやっちゃいましょうというフレキシブルな一面も。そうしたワガママのきくあたりがまた魅力的であったりもするわけだ。

ビーチのいちばん奥まったところにヨガ用の東屋が。ワットポー直伝のタイ・ヨガだけでなくインド・ヨガのインストラクターもいる。フィジカルトレーニングには、ムエタイトレーニングなるもありだ。

 噂のシグネチャー「6ハンズ・マッサージ」ももちろん人気継続中で、今回、どんなものか体験してみた。よく見かける「4ハンズ・マッサージ」は、ふたりのセラピストが同時に施術をしてくれるもの。一見極楽ハーレム状態に思えるのだが、ちょっとでもセラピストふたりのリズムが違うと、マッサージされてる側の気が散漫になるので、けっこうギャンブルなところがある。まして、3人同時になんて……どうなっちゃうんだろう。

世界中、どこにもないと思われる6ハンズ・マッサージは「トリサラ」名物。いやいや至福極上、帰りたくない。

 トリートメントルームの都合で、部屋で施術を受けることに。セラピスト3人がやってきたと思ったらテキパキあっという間に準備が整った。

 いざ! うつ伏せになって感じるに、左右の各足担当と上半身担当とで担当部位を分担しているらしい。まずはタオルの上からマッサージ。ずずぃーっと下から上へ、上から下へと血行、リンパの流れをよくしているらしい。

 最初は意識していたので、3人の存在を感じていたのだが、あれよあれよと6つの手しか感じられなくなる。つまりはひとりの人間に6本の手。リズム、スピード、力加減といずれも一緒! それはもうみごとでありました。

 マッサージ自体は、そんなに複雑なことはしない。ディテールにこだわると和を乱すからと思うのだが、でも十分スッキリ。途中何度もオチそうになるのを、仕事だからと必死でいいきかせて起きていた自分が残念ではある。

施術してくれたセラピストたちは右から、チェンマイ、ラオスとの国境の町ノンカイ、小さな島出身と、全国各地から。タイの精鋭ぞろいってことかな?

 聞けば、12ハンズ・マッサージという裏メニューがあるという。もうふたりが左右の手を担当し、さらにもうひとりが頭を担当。シャンプーからマニキュア、ペディキュアまでして3時間のコースなのだそうだ。

 なにもそこまで同時にしなくてもと思うのだが、それだけ一緒にやっても同様な施術ができるという自信があるのだろう……実際、タイの人のテクニックはやっぱり世界一だと思う。

2016.12.27(火)
文・撮影=大沢さつき