ハードなトレッキングの後のごほうび絶景!

パダール島近くに浮かぶ、アーチ状に浸食された岩。これだけでも名所になりそう!?

 間もなくして、パダール島の穏やかな入り江の中へ、船は入って行きました。周囲はギザギザと切り立つ岩山で守られ、乾燥した気候ゆえに緑が乏しく、人を寄せ付けない印象。一方、海のブルーはどこまでも深く、そのコントラストはみごとです。

船を接岸したパダール島のビーチは、人の手が入っていないもよう。
ビーチに無造作に転がっていた、クジラの背骨。

 ボートを着けた砂浜には、クジラの巨大な背骨が落ちているなど、手つかずの状態。先客のボートが一隻ある以外は、人の気配がありません。

 船長が絶景ポイントまで連れていってくれるのかと思いきや、“一人で行ってらっしゃい”と素っ気ない手振り。道順を示す看板もないけれど、砂の急斜面を上ってみることに。ビーサンでは、足元の砂がするすると流れ、しかも赤道近くの炎天下ゆえ、かなりハードなトレッキングです。

この坂道を上って、頂上を目指します。このお母さん、ぐずった子供をおんぶして下りていました。あまりに過酷……。

 流れる汗が目に入り、視界が霞む中、砂の坂道を上ること、約20分。ようやく頂上に到着。

 振り返ると、あの看板で見た絶景が眼下に広がっています。3つのハーフムーン型の入り江が、岩がちの丘に背中合わせに食い込み、海岸線を縁取る白砂のビーチもまるで白く光っているよう。

 丘の上にはちょっとした木陰があり、そよ風を受けながら、見下ろす眺めは、さらに感動的。しかも、たまにインドネシア人の旅行者がやってくる程度で、絶景をほぼひとり占めです。

コモド島で見かけた、この看板がきっかけで、パダール島へ行くことに。

2016.08.06(土)
文・撮影=古関千恵子