来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤

来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤

YouTubeとSNSを巧みに使いこなす
新人女性シンガーUruの宣伝戦略とは

 音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

 さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は?

【次に流行る曲】
Uru「星の中の君」

有村架純主演映画『夏美のホタル』の主題歌

伊藤 今回はソーシャル時代らしい新人女性シンガー“Uru”のデビューシングル「星の中の君」。有村架純が主演の映画『夏美のホタル』の主題歌になっています。

山口 歌声が素晴らしいですよね。

伊藤 特徴的な奥行きのある歌声です。ただどこかで聴いたことがあるような気がしてならないのですが……思い出せません(笑)。UruはYouTubeに公式チャンネルを立ち上げ100本近く動画をアップ。彼女がJポップのカバーを歌っているのですが、モノトーンの映像に素顔をチョットだけみせるという内容。総再生回数は4500万回以上、チャンネル登録者は14万人を超えました。

山口 素晴らしい数字ですよね。僕はYouTubeの存在が、日本にも「カバー文化」を定着させてくれたと感じています。欧米の、特にアメリカの黒人ミュージシャンは、ブラックミュージックの名曲をリスペクトして歌い継ぐという意識が強くあるじゃないですか? 日本のポップミュージックは、シンガーソングライターの系譜が強かったこともあって、オリジナル曲重視でした。音楽業界にとって新曲を売る方が、著作権収入など金銭的メリットが大きいということも関係あったと思います。

伊藤 なるほど。過去にプロデュースしたアーティストでも、カバーアルバムをつくろうという話が持ち上がったことがあるのですが、結局は実現しなかった。それはオレ自身がなんとなく乗り気になれなかったというのもあり、オリジナル曲重視だったんですよね。プロデューサーとしてオリジナルで勝負したいっていう気持ちもあったし、まだYouTubeがそれほど世の中に浸透していなかったという理由もありますが。

<次のページ> 90年代らしさを帯びた歌声に心惹かれる

2016.06.13(月)

文=山口哲一、伊藤涼

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