できるだけ早く出合うべきもうひとつの理由

 できるだけ早く出合うべき理由がもうひとつ。これに出合うと肌との向き合い方が変わる。スキンケアに開眼し、お手入れする喜びに気づけるはずなのだ。

 ここのスキンケアはお手入れならぬ“お手当て”。悪いところに手を当てて、痛みやダメージを和らげたりする“手当て”の発想でつくられたメソッド、これがじつにいい。一般的な使用順とは多少異なるが、何よりの特長は、洗顔後の一品“保湿液”で、その日その日のハリ肌を手づくりしてしまうこと。CMでおなじみ、手のひらが肌に吸いつくようになるまで、丁寧にたたきなじませる。しかも一度全体になじませたら、もう一度足してなじませる、その“二度塗り”が、言ってみればもう肌ができあがってしまったような、ハリと弾力を生むのだ。

 だから一度体験すると必ずクセになる。自分の肌の変化が嬉しくて、毎日の“お手当て”が待ち遠しくなるのだ。スキンケアって、なるほどこういうものなのかと、目からウロコ。だからドモホルンリンクルは歴史的なロングセラーとなったのだろう。

 驚いたことに、中身は定期的に進化させても、コンセプトや商品構成、容器はずっと変えていない。お手当ての方法も。それは絶対の自信の表れ。変える必要がないから変えない。でも圧倒的なロングセラーであることにもあぐらをかかない。そこがなんとも真摯で良心的。今回も基本の4品の中身のみパワーアップ。早く始めるべき理由、ともかく一度試すべき理由もわかったはず。気になり始めたら始めどきなのだ。

齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2016.03.03(木)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫

CREA 2016年3月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

新・東京ガイド。

CREA 2016年3月号

ひとりでも、みんなでも
新・東京ガイド。

定価780円