七夕の歌に出て来る「金銀砂子」とは?

盛り上げ胡粉に金箔を施した貝合わせ(文花作)。

 余談ですが【ささの葉 サラサラ のきばに ゆれる お星さま キラキラ 金銀砂子】という七夕の歌は皆さんご存じかと思いますが、この砂子とは何でしょう?

 これは金網のついた筒を通した細かな金箔、銀箔のことです。

 下地に塗った胡粉が乾く前に砂子を蒔くと、胡粉の膠で金箔が定着してキラキラと輝きます。ちなみにこれを漆に施すのが蒔絵です。

 「やっと謎の砂子の正体がわかった」と子供達から参観の親御さんまで歓声が上がります。また金箔というものが、金属なので重いイメージがあるようですが、ため息で吹き飛んでしまうような、ふわふわと軽くて薄いものであることにも驚くようです。

 画面の構図を整えるために描く、金色のモクモクとした雲には「源氏雲」という美しい名前があります。源氏物語を描いた画帖に良く描かれているからです。この源氏雲に盛り上げ胡粉で紋様を施してから金箔を押すと大変豪華になります。

 他にも、貝合わせにまつわる歴史的背景をお話ししたり。描くだけではないのが文花流の日本画教室です。

 手間暇はかかりますが、それを惜しまず楽しむのが伝統の日本画の醍醐味であると思います。

 古くの天然素材の本物の美しさに触れ、先人の繊細な手仕事を学び体験することで、日本文化に興味を抱き、日本人であることを誇りに思う心を育てたいものです。

2016.02.06(土)
文・撮影=中田文花