LOVE:きのこ鍋
黒いスープで頭のよくなるきのこを味わう

六本木|シャングリラズ シークレット

 2015年の後半はなんだか疲れが溜まりがちだった。歳相応に体力が衰えているのと同時に、そもそもうっかり者なのに加えて記憶力は下がり、すぐぼんやりするし。そんなときに弱った体と脳にしみたのが「シャングリラズ シークレット」のきのこの鍋だったことをふと思い出した。

なんとなく神秘的なコンロ付き壺。おうちに1台欲しいくらい!

 なんといっても名前が他人事ではない。この鍋、「宝茸黒湯」と書いて、「ほうじょうへいたん」と読む。ほうじょうの端くれとしてはなかなかの親近感。関係ないが、領収書を書いてくれた方も北條さんで、シャングリラズ シークレットはほうじょうのるつぼであった。

 さて、余談は措いておいて、シャングリラズ シークレットの名前の由来は、中国雲南省の山岳地帯「シャングリラ」の「秘伝」のスープからきている。これまで日本にはなかった、複雑にきのこエキスが絡み合う逸品である。黒々と深く、山深い秘境に住む人々がきのこをグツグツと煮て作っている様子が思い浮かぶ神秘的なスープだ。

漆黒のスープ。きのこのだしが静かに、しかし強烈に広がっていく。

 スープは円柱状の、これまたなんとなく神秘的な壺になみなみと入れられている。下の方はコンロになっていて、これをひとり1台。「しゃぶしゃぶは1人で食べたほうがおいしい説」は以前こちらでうるさく語っているが、きのこ鍋もしゃぶしゃぶなので、これはあっぱれである。

 さて、きのこ鍋はコースで。この日はいちばんライトな小さな前菜2種と「お肉の様な串揚げ」に黒いスープ、きのこ盛り合わせ、野菜・豆腐盛り合わせ、そして鶏肉と麺、デザートがつく「美楽黒湯コース」をセレクト。

「お肉の様な串揚げ」はまるでインド料理のような雰囲気。

 まず衝撃を受けたのが「お肉の様な串揚げ」だ。お肉というよりはしっかりきのこだが、おいしいのだ~。きのこの傘裏の部分は肉には真似できない繊細なヒダヒダがあるけれど、ここがまずさっくりと揚がっていて美味。

 さらに、きのこ本体ももっちりとなめらかで、さらにジューシーだから、鶏における皮と身よりもめりはりがあるくらいだ。スパイスたっぷりの下味が肉以上に染み込んでいて、「お肉の様な」と名付けるのが申し訳ないくらい、何本も食べたくなるスナッキーな逸品である。

2016.01.27(水)
文・撮影=北條芽以