美術館・博物館での撮影のコツ 結論
「巨匠たちとのコラボは最高に楽しい!」

巨匠とのコラボ。入口の枠を利用して、枠内にいる人が絵の中に入っているような錯覚を起こさせ、一枚の絵になるように撮ると面白い。

 最後に美術館・博物館の写真の一番の楽しさは巨匠たちとコラボすることである。

 つまり、偉大な芸術家たちの作品を自分のカメラで構図を決め、ちょっとした工夫をして一枚の絵となるように撮影するということ。

ベルリンの壁「イーストサイドギャラリー」。旧ソ連のブレジネフ書記長と旧東ドイツのホーネッカーのキスの壁画の前でキスをするカップルも絵の一部に入れ込んだ写真。

 例えば、絵の中の貴婦人とそれを見ている女性を入れ込んで対照的に撮ったり、部屋のドアと作品を綺麗にならべて遠近感マジック的な写真を撮ってみたり、とにかく教科書に載っているような複写的な写真ではなく、とことん自分の意思を画面に反映させて撮ることが大事なのである。

 考え方によっては、世界的に有名な作品とコラボなんて恐れ多いと感じるかもしれないが、美術館や博物館でしかそんなコラボ体験はできないのだから「やっちゃえ~、撮影!」(某自動車会社のCMのセリフ引用、流行りのパクリ!?)

 ということで、勉強的な雰囲気の美術館も博物館も自分の気持ちひとつで楽しくなる。独自のカメラアングルやちょっとした工夫の撮影で美術館や博物館を楽しめたならあなたもエキシビジョン・エキスパート! 

 そしてその写真はあなたの宝物となるのだ。

エルベ川河岸にはバロック様式の素敵な建物がたくさんあるので夜景撮影も楽しめる。

 以上。次回は何のコツをお教えしようかと検討中。旅先の写真撮影でこんな時どうしたらいいの? など、取り上げてほしいテーマがあれば、CREA WEBの「掲載記事へのご意見・ご感想」フォームからご意見をお寄せください。

山口規子(やまぐち のりこ)
栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、文藝春秋写真部を経て独立。現在は女性ファッション誌や旅行誌を中心に活躍中。透明感のある独特な画面構成に定評がある。『イスタンブールの男』で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、『路上の芸人たち』で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。著書にひとつのホテルが出来上がるまでを記録したドキュメンタリー『メイキング・オブ・ザ・ペニンシュラ東京』(文藝春秋)、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)や東京お台場に等身大ガンダムが出来上がるまでを撮影した『Real-G 1/1scale GUNDAM Photographs』(集英社)などがある。また『ハワイアン・レイメイキング しあわせの花飾り』『家庭で作るサルデーニャ料理』『他郷阿部家の暮らしとレシピ』など料理や暮らしに関する撮影書籍は多数。旅好き。猫好き。チョコレート好き。公益社団法人日本写真家協会会員。

Column

山口規子のMy Favorite Place 旅写真の楽しみ方

山口規子さんは、世界中を旅しながら、ジャンルを横断した素敵な写真を撮り続けるフォトグラファー。風景、人物、料理……、地球上のさまざまな場所でこれまで撮影してきた作品をサンプルとして使いながら、CREA WEB読者に旅写真のノウハウを分かりやすくお伝えします!

2015.09.27(日)
文・撮影=山口規子