今日の絶景

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モロッコにヴェルサイユを築くという
夢の半ばで逝った王が眠る壮麗な霊廟

Magnificent View #676
ムーレイ・イスマイル廟(モロッコ)

(C) Marco Cristofori / Masterfile / amanaimages

 敬虔なイスラム教国であるモロッコで唯一、イスラム教徒でなくても足を踏み入れることのできる霊廟が、古都メクネスにあるムーレイ・イスマイル廟だ。

 18世紀初頭、アラウィー朝の王、ムーレイ・イスマイルとその妻、息子のために造られたこの霊廟には、美しい装飾が施されている。大理石の水盤が置かれたパティオをはじめ、壁や天井のモザイクや漆喰彫刻は、イスラム文化の最高傑作と呼ばれるほど。

 ムーレイ・イスマイルは、当時強大な力を持っていたヨーロッパ諸国と国交を結び、国王たちとも積極的な交流をしていた王でもある。フランスのヴェルサイユのような華麗な都市をメクネスに築こうと、もともとあった街を壊し、新しいモスクや門を次々とこの地に建設した。

 だが、イスマイルは王都の完成を見ぬままこの世を去り、死後、都は別の地に移された。モロッコのヴェルサイユを夢見た彼が眠る廟の中では、ルイ14世から贈られた時計が、今も時を刻んでいる。

2015.08.07(金)

文=芹澤和美

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