旅館道 その2
「建物と庭の心地よさと美しさの秘密を知る」

窓格子から襖越しに入る優しい光、外の眺めはまるで一枚の絵のよう。シンプルだが実に手が込んでいる客室の造りを知れば、そこに身を置く贅沢さが分かる。
お手入れも刷毛を使って細やかだ。

 築およそ100年の日本建築を生かした「星のや 京都」の建物において、客室の設計は建築家東利恵氏が手がけている。建具など風格はそのままに実に清潔できれい。これは「二社谷塗装店」が手がける「洗い」と呼ばれる建材を磨き上げる技術によるもの。

 壁は、客室ごとに柄が異なる“京唐紙”で仕上げらている。これは、中国の唐から伝わったもので、版木の上に雲母や顔料を調合した色を重ねて鳥ノ子紙に刷ったもの。「京からかみ 丸二」の職人の手で作られた伝統の模様が部屋に美しいニュアンスを与えている。

左:この唐草模様は、雲母を使った光沢顔料で二度塗り仕上げ。
右:神代杉や松を使った家具は、宮内庁御用達でもある「ヒノキ工芸」によるもの。

 建具や家具にも、伝統の技が現代に生きている。宿泊した客室“月橋”の和室にあったこの“畳ソファ”は、座ると正座した時と同じ目線で和室を感じられるように作られたもの。曲線が空間にモダンで優しい雰囲気を与えている。

「奥の庭」は、燻し瓦が敷かれているので、ここで茶会やアクティビティも行うことができる。

 テラスに池と滝を配した寛ぎの「水の庭」と、燻し瓦で川を表現した「奥の庭」という2つの日本庭園はランドスケープアーキテクトの長谷川浩己氏がデザインし、創業が嘉永元年(1848年)という「植彌加藤造園」が手がけた。「奥の庭」は、川に水が注ぎこむ様を表現した枯山水風に仕上げられ、人が入っていくこともできる庭だ。

<次のページ> 京の素材に新しい息吹を与えた会席料理を味わう

2015.02.28(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵