旅館道 その3
「京の素材に新しい息吹を与えた会席料理を味わう」

京都の老舗割烹に生まれ、子どもの頃に訪れたフレンチレストランで味わった料理にインスパイアされ、フランス・英国に渡った久保田氏。原点である京都に戻り、新たな挑戦に日々取り組む。

 2013年にミシュランの1ツ星を獲得した久保田一郎料理長による「星のや 京都」の食事。久保田氏は、京都・祇園の老舗割烹に生まれ、アメリカ留学を経て、大学卒業後に「日本料理を世界に広めたい」と料理人の世界へ。フランスやロンドンで活躍した後に「培ってきた日本料理の集大成を京都で」と「星のや 京都」でその腕をふるう。

「先附 蕪のフランと雲子フリット」。蕪とマダラの白子である雲子という京料理らしい素材ながらフレンチのテイストを感じる一品。フリットの香ばしさとその後のまろやかさの調和が見事。

 京都ならではの素材を生かし、日本料理の伝統を重んじながらも、久保田氏らしさを発揮した新しいアイデアのひらめきにはっとさせられる。「五味自在」と名づけられ、素材、味、盛りつけの斬新さとその奥にある日本料理の伝統が見事に調和した進化し続ける会席料理を、ぜひ宿で味わってほしい(21,600円/税込・10%サービス料別)。

左:目にも美しい「八寸 初花月の肴核」。豆やあん肝、茂呂子など伝統的な日本料理の素材ながら味付けにジュレを使ったりとひとひねりあって、一つ一つ食べるのが楽しい。京都の蔵元「月の桂」の純米吟醸酒「柳」を合わせて。
右:「向附 季節の変わり造里」は三宝柑の中に中トロ、雲丹、紋甲イカと真昆布のジュレにマグロ節のお醤油をかけて。

※各メニューに関しては、入荷の状況次第で異なる食材を用いる可能性があります。

星のや 京都

所在地 京都市西京区嵐山元録山町11-2
電話番号 050-3786-0066(星のや総合予約)
URL http://www.hoshinoyakyoto.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

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2015.02.28(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵