#039 Cabo San Lucas
カボ・サン・ルーカス(メキシコ)

バハ・カリフォルニア半島突端の豪華リゾート

カボ・サン・ルーカスは今も昔もセレブリティの隠れ家ビーチリゾート。(C) CPTM: Photo / Ricardo Espinosa-reo

 北米から垂れさがるように延びたメキシコのバハ・カリフォルニア半島。その1250キロもの半島の先端にある豪華ビーチリゾートが、カボ・サン・ルーカスです。この町とサン・ホセ・デル・カボと合わせた総称をロスカボスと呼びます。

バハ・カリフォルニア半島の突端の街、カボ・サン・ルーカスの岬にあるランズ・エンド。(C) CPTM: Photo / Ricardo Espinosa-reo

 バハ・カリフォルニア半島を縦断する国道が完成したのは1973年のこと。それ以前の1950年代、カボ・サン・ルーカスはビング・クロスビーなどの往年のスターが自家用機で訪れていたという、元祖隠れ家リゾートです。

 今でも、ロサンゼルスから空路約2時間と近いため、ジョン・トラボルタが盛大なバースディ・パーティーを開いたり、ジェシカ・アルバやジャスティン・ビーバーなど、今をときめくセレブたちがヴァカンスに訪れています。

カボ・サン・ルーカスへと向かう道程は、サボテンがニョキニョキと生える荒野が続いています。(C) CPTM: Photo / Ricardo Espinosa-reo

 半島中部にある町ラ・パスからカボ・サン・ルーカスまで車で移動したことがあります。

 ドライバーはオフロードレース“バハ1000”に出場経験のある地元のガイドさん。このレース、バハ・カリフォルニア半島を昼夜ぶっ通しで走り抜ける過酷なもので、完走率は50%とか。彼の運転で、車は灌木の合間にサボテンがニョキニョキと生えている荒野を軽快に飛ばしていきます。

 が、いくつ赤茶色の丘を越えても、その先には判を押したようにサボテン荒野が待っています。時折、西部劇で見かけるような赤錆色をした風車がぽつんと立つアクセントがある以外は、変化のない風景。移動に関する距離感や時間感覚のスケールが違います。

 途中立ち寄った小さな町トドス・サントスでは、あの「ホテル・カリフォルニア」が! イーグルスの名曲の、あのホテルの本家本元。小さく家庭的なホテルで、スタッフによると、大ヒット後にもドン・ヘンリーが家族で訪ねてきたとか。ロサンゼルスではなくて、バハ・カリフォルニア半島の片田舎にあったのですね。

 さらに南下を続けても、風景は相変わらず。やがて会話もなくなり、ロードノイズと車窓を流れるサボテン荒野……。

2015.01.03(土)
文=古関千恵子