遊覧飛行を楽しみながら、あっという間に天草へ

 そんな天草への旅は、天草エアラインがいい。車では熊本方面から約2時間、福岡方面から約4時間を要するところ、熊本からわずか20分、福岡から35分と天草まではひとっ飛び。大阪伊丹空港からも熊本空港を経由して2時間20分。天草空港で飛行機を降りた後は、車で10分も走れば、天草の中心地、本渡に到着する。

機体の愛称は、天草弁で「かわいい」という意味の「みぞか号」。エンジン部分の子供イルカは、「かい君」と「はるちゃん」。あわせて「快晴」という語呂合わせ。車輪格納ドアには隠れくまモンも。

 天草エアラインの特徴は、何よりそのユニークなデザインの機体。親子のイルカが描かれたブルーの飛行機が海上を飛ぶ姿がとてもキュート! 保有する機材はなんと、39人乗りのボンバルディア社製プロペラ機1機。イルカの姿をした小型機は、1日に天草―熊本―大阪間を1往復、天草―福岡間を3往復も飛ぶ、働き者の飛行機なのだ。

空路で移動中、眼下に見えた1号橋。九州本土と天草は、1966年に完成した5つの橋(1号橋~5号橋)でつながっている。
望遠レンズでなくても、シャッターを押せばこんな景色がレンズに収まる。右側と左側で違った景色を眺められるので、往復路で満喫したい。写真手前が天草諸島。奥が島原半島。
(左)天草と島原の間に浮かび、島原の乱の密議が行なわれたという湯島(通称:談合島)。近年は猫の島としても有名。(右)雲間に浮かぶ島原半島の普賢岳。

 移動時間の節約はもちろんのこと、天草エアラインに乗りたくなる理由のひとつは、機上からの景観。低空飛行のため、快晴時には、長崎の雲仙普賢岳や天草五橋をはっきりと見ることができる。移動しているというよりも遊覧気分で、到着までは、あっという間。

美人客室乗務員も、お願いすれば笑顔で天草弁を話してくれる。手作り感あふれる機内誌は必読!

 パイロット2名、客室乗務員1名で運航する機内の雰囲気はアットホームで和やか。客室乗務員もきさくに話しかけてくれるし、「一緒に記念撮影を」というリクエストにも笑顔で応じてくれる。

 旅気分をさらに盛り上げてくれるのが、シートポケットに用意された手作りの機内誌。客室乗務員(全5名)の顔写真付きのプロフィールや、観光案内(客室乗務員自らが歩いてレポート)、利用者から募集した機内サービス、機上アナウンスの天草弁バージョンまで紹介されていて、到着する前から、「天草って面白そう!」とワクワクしてしまう。

到着して点検を終えたらすぐに次のフライトへ。働き者の「みぞか号」は、スタッフに見送られて出発。

 こうした和やかな雰囲気は演出ではなく、天草エアラインの飾らない素顔。大切な1機は月に1度、社員総出でピカピカに洗浄。パイロットは機内の清掃もするし、客室乗務員は保安検査場業務も行い、グランドスタッフは預け荷物の受け渡しも行っている。社長自ら荷物の積み込み作業を行なう姿も。

 他にも 天草までのアクセスはいろいろ。長崎や鹿児島方面からはフェリーやカーフェリー、熊本・福岡方面からは、車で向かうプラン(熊本駅~天草の直行バスも運行)のほか、九州新幹線と特急「A列車で行こう」で熊本県三角まで行き、そこから船で向かうプランなどがある。

天草のいたるところに点在する海水浴場。どこに行っても、当たり前のように美しい海とビーチがある。

天草エアライン
電話番号 0969-34-1515(9:00~18:00)
URL http://www.amx.co.jp/

協力:熊本県天草市一般社団法人 天草宝島観光協会(天草観光ガイド「島旅」 http://www.t-island.jp/ )

2014.06.26(木)
文=芹澤和美