音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

 さて、2014年6月後半にリリースされる中から、彼らが太鼓判を押す楽曲は?

【次に流行る曲】
UVERworld「7日目の決意」

若者の間でSEKAI NO OWARIと双璧の人気を誇るバンド

山口 今回採り上げるのは、UVERworldですね。

伊藤 です。UVERworldっていうとSMEのアーティストで、アニメ主題歌を多く歌っているバンドって印象があるんですが、山口さんはどうですか?

山口 バンドが、のし上がっていくときは、時代の流れに乗ったり、新しい風を起こしたり、いずれにしても音楽シーンと共に浮上していくものなのです。ジャパニーズR&Bとか、和製ヒップホップとか、青春パンクとか、いろんな流行がありました。昨今のアイドルブームもシーンと呼べる存在がありましたし、古くは、ビジュアル系もそうでした。ところが、UVERworldは、ワンアンドオンリーというか、他のアーティストとつるまずに、独自路線でメジャーシーンを登っていった印象があります。ビジネス的な仕掛けも成功しましたね。

伊藤 そうなんですね。あと楽曲的にはアラウンドトゥエンティの代弁者で、ビジュアル的にはボーカルのルックスがクールな印象が強い。

山口 以前、紹介したSEKAI NO OWARIと双璧で、10代後半から20代前半の世代でカリスマ的な人気を誇っていますね。大学生と話すなら、セカオワかウーバーのどちらかに集約されると思います。どちらにも興味がなければ、音楽好きではないでしょう。そのくらいのポジションです。世代的に言うと、セカオワよりも少し上に広い印象ですが。

伊藤 随分と影響力あるポジションなんですね。

山口 ライブも何度か観ていますが、素晴らしいですよ。音楽性の高さと、若者を熱狂させるカリスマ性が共存しているバンドです。

伊藤 なるほど、双璧の片方にセカオワを挙げたのが分かるような気がします。いただいた資料にはタイアップに関することは何も書かれてなかったのですが、今回はノンタイアップなんですかね? しかもカップリングがインストって……、販促要素が少ないシングル。楽曲で勝負したいという現れなんですかね。

山口 事務所の社長とは、恵比寿でよく飲みますけれど、仕事の話はしないので、よく知りません(笑)。ただ、クリエイティブなレベルは非常に高いですね。「ミクスチャーロック」っていうジャンルは、和製英語ですし、彼らを示す言葉としては不適切かもしれませんが、洋楽邦楽の様々な要素を取り込んで、自分たちなりのオリジナリティを確立している印象はありますよ。

伊藤 まぁ、広い意味でミクスチャーですね。今回の「7日目の決意」を聴いて思ったんですが、今までの世界観とは少し違っているんです。これまでのほとんどの曲と同様にTAKUYA∞の作詞作曲なんですけど、詞がまるで実体験のような表現で、スーパー主観的。簡単に言うと「生きよう!」と言っていたのが「生きるよ。」に変わった。少なくともTAKUYA∞にとっては、超大切な作品になっているように思う。ただ、あまりにも作者の楽曲に対する思い入れが強すぎると、逆に他のバンドメンバーやスタッフは冷めてしまうこともある。結果、チーム全体としてのプライオリティは下がっているということも。そう考えると、販促要素が少ないことは妙に気になります。

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2014.06.15(日)
文=山口哲一、伊藤涼

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