世界が注目する若手指揮者が初来日!
明治の長崎を舞台にしたプッチーニのあまりに美しい名作オペラ『蝶々夫人』。オペラを聴きに劇場へ足を運んだことがなくても、有名な2幕のアリア「ある晴れた日に」を聴けば、誰もが「あ! 知ってる」と声を上げるはず。
美しい歌と合唱、オーケストラが満開の桜のように咲き誇るこのオペラを振るために、イタリアからやってきたのが、世界中の注目を浴びている若手指揮者ダニエーレ・ルスティオーニ氏。ご覧の通り俳優のような素敵なルックスだが、もっとすごいのは彼の才能だ。
20代で名門ミラノ・スカラ座を指揮し、躍動感溢れる知的な音楽性が高い評価を得た。
イタリア国内だけでなくロシア、イギリス、ドイツでも国際的なキャリアを積んだ経歴もユニークだ。日本に着いたばかりの若きマエストロにお話を聞いてきました。
「ミラノ生まれのミラノ育ちで、ミラノ音楽院で15年勉強し、色んな楽器を学びました。ピアノ、オルガン、ヴァイオリン、チェロ、ホルン、合唱の指揮に作曲も……全部修了証書をもらったわけではないけど(笑)。最終的に指揮者としてのキャリアを積むために、色々な楽器を勉強しておいてよかったと思う。もともとミラノ・スカラ座の児童合唱団で歌っていたので、最初の楽器は“声”だったともいえます」
インタビューが行われたのは、初日稽古の日だったが、全員のパートをすごい美声で歌うルスティオーニ氏に、歌手たちも大きな刺激を受けていた。
「まだ稽古を始めたばかりだけど、日本の歌手の皆さんは素晴らしい。とてもよく準備が出来ているし、イタリア語もうまいです。アメリカやドイツでイタリア語のオペラを振るときは、語学の先生になった気分になるけど(笑)。『蝶々夫人』はこれまでに5回振っていますが、今回日本で振ることを決めたのは、色々学べると思ったから。絶対に豊かな経験が出来ると思った。何といってもこのオペラの舞台は日本だし! 昨日日本に着いて感じたのは、想像していたのと空の色が違うということ。これから色々な場所を散歩したり、歌手たちの所作を観察したりして、インスピレーションを受けようと思っています」
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2014.04.20(日)
文=小田島久恵
撮影=鈴木 遼