小さい頃、母とよく買いに行った神戸の甘納豆屋さん「岡女堂」。おやつの時間、煎茶や玄米茶と一緒に、甘いお豆さんを一粒一粒つまんで食べたものでした。最近、話題に上らないなと思っていたら、江戸時代末期の安政年間創業というそのお店は、2006年に神戸の街からなくなっていたのです。ちょっぴり懐かしい思い出のある甘納豆。その専門店を大阪で見つけました。

 JR、大阪メトロ天王寺駅から北東に徒歩約5分。四天王寺庚申堂の東にある「青山甘納豆」は、日本初の甘納豆専門店。大正13(1924)年に始まったお店は、2024年に創業100年を迎えますが、祖先は、明治の初年には、京都・本能寺前で甘納豆の製造を始めていたのだとか。店内には古い暖簾や代々の全国菓子大博覧会での表彰状なども掲げられ、歴史を感じさせる佇まい。木枠のケースには、甘納豆が美しく詰められた贈答用の化粧箱が並んでいます。

 定番の甘納豆は、異なる豆で作られた4種類。

 「小豆(あずき)」は、北海道産。粒がしっかりしていて、小豆本来の風味が引き立ちます。

 「斗六(とうろく)」は、西日本での呼び名。インゲンマメの種類で、別名「大福(おおふく)豆」。大粒でしっとり、優しい味わいです。

 「金時(きんとき)」も、インゲンマメの代表的な銘柄。煮豆そのままの懐かしい味。

 透明感のある緑色が美しい「青豌豆(あおえんどう)」は、着色料不使用。素材そのままの味が楽しめます。

 「お好み」は、定番4種類をミックスして袋詰めしてあり、普段のおやつにぴったり。テトラパック入りも人気だそう。

 季節限定のものも並んでいました。

 「お多福(おたふく)」は、大粒のそら豆を甘く煮たもの。

 「栗(くり)」と鳴門金時を使用した「いも」は、豆ではないので「納糖(なっとう)」と表記されていました。

 改めて甘納豆に種類がたくさんあることに気づきました。また、ここでは、現在、3代目が甘さを控えて作っていて、それぞれの豆や素材の味がしっかり感じられます。甘いだけではないので食べ飽きません。通常の場合、日持ちは10日間。

2024.01.14(日)
文・撮影=そおだよおこ