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●新作では膨大な長ゼリフにも挑戦!

――ピュアな性格ともいえるトワのセリフ量の多さについては?

 とにかく長いし、これ大変だろうなと思いましたね(笑)。だから、台本を毎日読んで、長ゼリフのところは、プリントアウトしてポケットに入れて、スーパーに行くときとかに、歩きながらずっと読むみたいなことをやっていました。

 そしたら、1ヶ月ぐらいで、全部覚えられましたね。でも、本編の中で僕、一度噛んでいるんですよね(笑)。前田監督は「別に気にならなかったし、全然よかった」って仰っていますが、個人的にはやっぱ、悔しいですよ! 役者ですから!!

――この作品で新たに挑戦されたことは? どのような新しい倉さんが観られる作品になったと思いますか?

 作品の空気感としては、ちょっと朗らかで柔らかい感じのキャラとしてトワを演じたかったのですが、じつはちょっとつかみづらかったりもするので、リアリティや説得力を出すためにも、しっかり地に足つけてやらなきゃいけないと思っていました。

 撮影前に前田監督からいただいたトワの年表も参考に構築していった役作りは、すごく苦戦したし、頑張った部分でもあるので、そこを観ていただけたら嬉しいですね。

――これから『こいびとのみつけかた』を観る方にメッセージをお願いします。

 前田監督もよく仰られているのですが、この作品は「逃避の映画」なんです。「何かから逃げたって、別にいいじゃないか?」「逃げる場所があったっていいじゃないか?」って。

 今、生きている人たちに、何かちょっとそっと背中を押してくれる……というよりは、一緒に歩くような感じの映画になってくれればいいですね。そして、僕が最初に台本を読んだときのように、観た人の心が少し軽くなってくれたら嬉しいです。

2023.10.27(金)
文=くれい響
撮影=釜谷洋史
ヘア&メイク=NOBUKIYO
スタイリスト=カワセ 136