買い出しのスーパーで新たな繋がりを作る

 昨年、アイリーン上陸か!? とニューヨーカーが買い出しに走っていたとき、長男は家でニュージャージー州出身のジミー(28歳)から英語のレッスンを受けていました。

「ハリケーン初体験なんだけれど、そんなにすごいの? 台風と同じだと思っていたんだけれど」

ジミー「僕も初めてなんだ。君のほうが、台風に慣れているだけ、経験豊富だよ」

「えっ?」

ジミー「東海岸にハリケーンが来るのは珍しいから、本当に上陸したら26年ぶりなんだよ。非常事態宣言に、初の避難命令に、上陸前に公共交通機関完全ストップなんてことも初めてだから、皆、『これは、ただ事ではない!?』って軽くパニックなんだ」

ホールフーズのレジ待ちで知り合いになった女性。マンハッタンのインフラの弱さを嘆いていました。カナダ出身なので、故郷で大地震があって心が痛いのに、こんなに買い占めて恥ずかしい気持ちもあるけれど、娘家族は夕方に帰ってくるから買いに来たの、と話してくれました

 と聞いて、あのザワツキに納得。暗いというより、ちょっとハイというか、テンション高めだったんです。幸いアイリーンは熱帯暴風雨になってから上陸したので、予想されたよりも被害は小さくすみました。ジミーの実家は地下室が浸水しましたが……。アイリーンよりも格段に大きいと言われていたサンディ。夕方から来ると言われていた日曜の朝、ブルームバーグ市長の声明に従って、食料の買い出しに外へ出ると、ご近所さんとばったり。「Good Luck! ホールフーズ、昨日はレジ待ちが1時間だったらしいよ」と言われ、覚悟を決めてホールフーズへ。レジ待ちはいつもの3倍以上の長さで、陳列棚もスカスカ。生鮮食品に加え、ポテトチップスコーナーもしっかりスカスカになっているのが、アメリカだなぁと思ってしまいました。

 レジ待ちでは、後ろの女性が水を大量に買い込んでいたので、「いっぱいあるわね」と話しかけると、2歳と4歳のお孫さんと同居しているとのこと。「私も2歳と6歳の息子がいるの」という話になり、気づくと「今度、プレイデートをしましょう」と連絡先を交換していました。どんな状況下でも、見知らぬ人とのちょっとした会話から新たな繋がりができるというのが、ニューヨークの素敵な一面だと改めて思いました。

ホールフーズの水コーナー。水が一番先に在庫薄になったようです

 さて、我が家は幸いサンディによる被害に遭わなくて助かりましたが、お友達の中には、停電、断水などで、1週間、家に帰れない人もいました。マンハッタン郊外の実家が浸水して、建て直さないと住めないという友達も……。地下鉄再開の報を受け、地図を見ると、被害の大きかったダウンタウンは不通のままでした。スーパーへ行こうと外に出ると、ニュースで見た建設中のビルのクレーン車も曲がったまま。こんな状況下に不謹慎ですが、長男は休校が1日延びるごとにガッツポーズ(災害の映像を見せないようにしています)。休校は1週間に渡り、4日目にはNY市教育委員会から、「大変な時期だけれど、読書や算数の計算などをしっかり続けさせてください」というメールが届きました。それを伝えると息子は、「宿題があるのか……」とがっくりしていましたが。

 被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

Column

NYで子育てしてみました!

息子の幼稚園はマンハッタンのど真ん中! 英語はかたこと、さて……。ほんわかNY子育て記

2012.11.14(水)