エキシビションの入り口。賑やかな看板が吊るされています。

 食への関心が世界的に高まっている昨今、ただ「おいしく食べる」というところから一歩進んで、環境やサステイナビリティなどとの関連を考えるエキシビション「FOOD: Bigger than the Plate」が、現在、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(以下、V&A)で2019年10月20日(日)まで開催中です。

 エキシビションでは、会場を「Compost(堆肥)」「Farming(農業)」「Trading(取引)」「Eating(食)」の4つのセクションに分け、食材の生産から流通、調理されて堆肥になるまで、それぞれの工程において、生産者やシェフ、科学者などとアーティストがコラボし、新しいアイデアを提案しています。

◆Compost(堆肥)

 最初のセクション「Compost」では、食べることによって生まれる廃棄物に光を当てています。

 自然のサイクルのなかでは、有機廃物は土に帰り、新しい命のもとになるところ、現代社会では埋め立て地となったり海に廃棄されたりすることで、有機的な連鎖が途切れがち。

 世界的な廃物問題を受けて、無駄を防いで有機的なサイクルを再構築することや、廃棄物を再利用するための斬新なアイデアの数々が展示されています。

食卓や農業の場で廃棄されるものを使った新素材の数々。特に微生物によって分解可能な素材へと変化させることで自然のサイクルに戻ることが可能に。コーヒーの廃物から作られたメガネフレームは、2年後にもまだコーヒーの香りがするそう。

 たとえば、人間の排泄物を再生エネルギーと堆肥に変える水を使わないトイレや、今までなら捨てられていた動物の骨、フルーツの皮などを使った新素材も盛りだくさんです。

◆Farming(農業)

 次なる「Farming」では、現在の生産にまつわる問題を浮き彫りにするような作品や、新しい提案を展示しています。

 人間の基礎的な活動のひとつでありながら、現在の英国において農業に直接的に関わっているのは、全人口の1.5%。また現在の農業のあり方は気候変動に悪影響を与えているとも言われています。

コーヒー豆のかすを集めた袋で栽培されているマッシュルーム。©Naoko Tamiya

 ここには、サステイナブルな技術を使って、おいしい食材を育みながら、人と人とを繋ぐ農業を模索する多様なアプローチについて展示されています。

 なかでも印象的なのが、「アーバン・マッシュルーム・ファーム」という展示品。吊り下げられた巨大なサラミのような見かけのものから、にょきにょきと生えているマッシュルーム。

 土台は、なんとV&Aのカフェから毎日1,000杯分排出されるコーヒー豆のかすです。育てられたマッシュルームは、カフェで食材として使われているそう。廃物の有機的な再利用の一案です。

文・撮影=安田和代(KRess Europe)