エロスの像のあるピカデリー・サーカスから徒歩10分、高級ブランド店の並ぶボンド・ストリートからも至近のバーリントン・アーケード。

 かつては、質のよいアンティーク店が集まっていることで知られていましたが、現在は、往年の高級感はそのままに、マノロ・ブラニクやラデュレ、マルベリーなど、さまざまな種類のショップが並んでいます。

 そのなかのひとつが、フレグランス・キャンドルで知られる、英国のブランドTrue Graceの旗艦店です。

落ち着いた雰囲気の店内。ゆっくりと香り選びが楽しめます。
旗艦店で販売されているキャンドルのサイズは4種類。小さいものからClassic(40時間・30ポンド~)、Small Bowl(50時間・40ポンド~)、Medium Bowl(60時間・95ポンド~)、Large Bowl(80時間・138.50ポンド~)。

 True Graceといえば、リバティやフォートナム&メイソンなど、多くのデパートのキャンドル売り場で取り扱いがある、英国では主要なキャンドル・ブランドのひとつ。

 2003年のブランド立ち上げから12年、満を持して2015年にこのロンドンの旗艦店がオープンしました。

吹きガラスでひとつひとつ制作されたボトル入りのディフューザー・セットは、旗艦店とパリの1店舗のみの限定販売。

 外からウィンドウをのぞくと、ベル型のガラスのカバーが並んでいて、一見ではなんのお店なのか分かりづらいかもしれませんが、じっくり香り選びができるのは、実はこのカバーがあってこそ。

キャンドルの香りは、ガラスケースで密封されているため、店内の香りはあくまでニュートラル。

 香りものを扱う売り場は、とかくさまざまな香りが空気中で混じり合ってしまいがちですが、ここではこのカバーがそれぞれの香りをしっかり密封しているため、店内の香りはあくまでニュートラル。

 ひとつひとつ、カバーを持ち上げて鼻先にかざす、そんなちょっとした儀式を通して、楽しみながらお気に入りの一品を選ぶことができます。

ガラスカバーを持ち上げて、鼻先にかざし、ひとつひとつの本来の香りを吟味。

 True Graceのなによりの特徴は、キャッチコピーに「Essence of England」と掲げているとおり、イングランドらしい香りを多く展開していること。

 イングランドに生息する植物や古い館の重厚感などにインスパイアされた、ユニークな香りがいっぱいです。

 例えば、「English Meadow(イングランドの牧草地)」は、草の香りのなかに、ワイルドフラワーを感じさせるさわやかな香り。

 「Library」は、スモーキーな木の香りのブレンドが、マナーハウスの書庫に並んだ革装丁の本や磨き上げられた古い家具を彷彿とさせるのです。

 それぞれの香りには、誕生した順番に番号がついていて、最新のものは96。

 もちろんなかにはワンシーズン限定のものもあり、すべてが現行品ではありませんが、「ここバーリントン・アーケードの旗艦店には、ここでしか買えない香りも置いています。特に『Burlington』は、旗艦店限定で人気がありますね。今年はバーリントン・アーケードがオープンから200周年ということで、その記念の香りも発売される予定です」とファウンダーのひとり、ロジャー・バイルズさんは話します。

ファウンダーのひとり、ロジャー・バイルズさん。ロジャーさんの妻で、もうひとりのファウンダーであるフィリパさんが香りの開発を担当しています。
バーリントン・アーケードの200周年を記念してつくられた香り『Cedar and Rose』のキャンドルは、今年一般発売予定。

 「イングランドを感じさせる上質な商品を、天然の素材でサステイナブルな方法でつくる、ということが、True Graceの根幹なんです」とロジャーさん。

 以前はカルバン・クラインやマルベリー、ペンハリガンなど、多くのブランドに向けたキャンドルの製造を行っていたそうですが、True Graceを立ち上げてからは、このポリシーを徹底させています。

 その結果、天然素材を使用したエコな方法による自社ブランド製品を製造すると同時に、MUJI(欧州市場向け)をはじめ、自分たちの哲学をシェアできるクライアントの製品だけを請け負う方向へとシフトしていったとのこと。

キャンドルは、ウィルトシャーの自社工場で製造されている。マシンを使う工程もあるが、要所要所で人間の手でクオリティを保っている。写真はキャンドル液を容器に注いでいるところ。芯が中央にまっすぐに立つように、丁寧に注がれる。(c)JakeEastham
キャンドル液もむらの出ないように、人間の手で念入りにブレンドされる。(c)JakeEastham

文・撮影=安田和代(KRess Europe)