ほかの中華街のレストランとは一線を画する、黒基調のスタイリッシュなインテリアが目を引く「シュー・ティーハウス&レストラン」。

 繊細な台湾料理を供することで、中華のファイン・ダイニングとしての地位を揺るぎないものにしていましたが、ここのところ、ティーハウスとしての側面にがぜん注目が集まっています。

 グランドフロアにティーカウンターを設けるなど、もともと中国茶に力を入れているシューが、今年の夏にスタートしたのが、台湾式のアフタヌーン・ティー・セレモニーセット。冷茶1種、温かいお茶2種、セイボリー3種とスイーツ6種のセットです。

 一品目は、まず水出しの冷たいお茶。季節のフルーツの香りがただようさわやかなお茶で、取材に訪れた時は、サマー・ストロベリー烏龍という、24時間抽出したウーロン茶にイチゴのインフュージョンを加えたお茶でした。

 一方、温かいお茶は、13種類のなかからお好みの2種を選ぶシステムです。そこで、まずはティーソムリエおすすめの金萱(きんせん)烏龍茶を出していただくことに。栗のようなナッツ系のフレーバーが台湾で大人気のお茶とのこと。

 ここからが、いよいよ台湾式ティーセレモニーの始まりです。

 まずは、茶盤と水盂(すいう)が一体化したような浅いボウルに置かれた小さな急須のなかと外、そして白い茶杯を温めるために、ざばざばとお湯がかけられます。茶海と呼ばれる片口にもお湯が注がれます。

 最初、なにに使われるのかぴんとこなかったテーブルの上の竹の道具は、ここで大活躍。

 お湯をかけて温めた茶杯をつまみ上げてなかの水分を切るためのピンセットのような道具、茶葉を適量取り出して置いておく細長い小さな竹のトレー、そして、最後の一葉までも急須に入れ切るためのスプーン。

 ティーソムリエの男性は、てきぱきとこれらの道具を使って、お茶をいれていきます。

 急須にお湯が注がれると、「一煎めは1分30秒、二煎は以降は20秒ずつ長く蒸らしてください」との指示に従いしばし待ち時間。

 その後言われたとおりに急須のなかのお茶を片口に出し切ります。これは、茶葉がポットに残ったお湯に漬かりっぱなしになるのを防ぐため。片口からそれぞれの茶杯に注いでいただきます。

文・撮影=安田和代(KRess Europe)